ウクライナ国民のロシアに対する好感度低下
7日、キーウ(キエフ)国際社会学研究所がロシアの独立系調査機関レヴァダ・センターと共同で実施した世論調査プロジェクトの結果が発表された。
発表には、「ウクライナでは、2020年9月、42%のウクライナ国民がロシアに対して『良い』あるいは『非常に良い』との印象を抱き、42%が『悪い』あるいは『非常に悪い』との印象を抱き、16%が態度を示さなかった」と書かれている。
また、ロシアでの調査結果については「48%がウクライナに対して『良い』あるいは『非常に良い』、43%が『悪い』あるいは『非常に悪い』と回答。9%が態度を示さなかった」と発表された。
また調査結果によれば、ウクライナ国内のロシアに対する印象は地方により大きく異なる。ロシアへ肯定的な印象を抱いている者は西部で30%、中部で38%、南部で52%、東部で56%。否定的な印象を抱いているのは、西部で56%、中部で47%、南部で30%、東部で27%であった。
発表には、今回調査時(2020年8、9月)、ウクライナ国民のロシアに対する印象は再び悪化したが、ロシア国民のウクライナに対する印象は若干改善していると書かれている。
過去の調査結果を見ると、2019年9月のロシア国民のウクライナに対する印象は若干改善している。発表には、「もしかしたら、ウクライナの新政権がロシアに対するウクライナ人の態度を変えるだろうという期待からかもしれない」と指摘されている。なお、2014年のクリミア占領とドンバスでの軍事行為開始を受けて、ウクライナ国民のロシアへの印象は90%から30%へと著しく悪化したが、戦闘の激しい局面が終わると、ロシアに対する態度は若干回復している。
同時に、発表には今回の世論調査の問題として、ロシアでは対面式で調査されたが、ウクライナでは電話で質問が行われたと指摘されており、更なる分析が必要だと書かれている。
今回の世論調査は、ウクライナ側は、キーウ国際社会学研究所が2020年9月12日から16日にかけて、CATI方式(computer-assisted telephone interview)で実施したものであり、ウクライナ全土(クリミア自治共和国、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域除く)の18歳以上の有権者2000名に対して実施したもの。理論的誤差は最大±2.2%だと発表されている。
ロシア側は、レヴァダ・センターが2020年8月20日から26日にかけて、18歳以上の有権者1601名に対面式で実施したもの。理論的誤差は最大3.4%だと発表されている。
図:キーウ国際社会学研究所
写真:ms.detector.media