オランダでウクライナ問題会議開催 独立30年の達成と挑戦を議論
ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。
ウクライナから参加したオレクシー・ハラン・キーウ・モヒラ・アカデミー大学教授(民主イニシアティブ基金学術ディレクター)は、過去のウクライナの「ロシア化」とソ連時代のウクライナ語使用制限について説明した。ハラン氏は、ソ連時代、ウクライナの高等教育機関では授業はほぼロシア語で行われ、講義の10%のみがウクライナ語で行われていたとし、そのため当時、若者にとって使用言語の選択肢は実質的に存在しなかったと指摘した。
その上でハラン氏は、「しかし、その頃から多くのことが変わった。世論調査を行ったのだが、私たちが、ウクライナに暮らす人は皆ウクライナ語が運用できないといけないと思うか、との設問を入れたら、80%がそう思うと回答した。ウクライナ東部でもそれに同意したことは指摘しておくべきだろう。つまり、大変化が起きたのである」と強調した。
同氏はまた、70%以上の回答者がウクライナ国民であることを誇りに思うと回答したとし、その数は過去数年で急激に増えていると指摘した。
写真:イリーナ・ドラボク/ウクルインフォルム
オランダ・クリンゲンダール国際関係研究所にてウクライナ問題を研究しているボブ・ディン上級研究員は、ウクライナ国民の多くが政治に関心を持っていること、一部は頭から政治に浸かっていることに感銘を受けたと語った。ディン氏は、「ウクライナでタクシーに乗ると、運転手があなたに、国会に議席を獲得した政党の話、その党が何議席取ったかなどといった話を始めるのだ。それは非常に印象的である。オランダ国民はその大半がそのようなことを知らない。ウクライナ国民は、国内のあらゆる政治プロセスに強く関与しており、国の情勢を積極的にフォローしているのだ」と発言した。
欧州安全保障協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)で副団長を担っていたアレキサンダー・フーグ氏は、ウクライナ東部戦争について話をした。同氏は特に、今も恒常的に砲撃が発生しているドネツィク州南部のシローキネを喚起し、「何年も状況は変わっていない。OSCEの報告書を読めば、もう7年も軍事紛争が続いていることがわかるだろう。そして、それがウクライナで、21世紀に起きているということを正しく理解することは非常に困難である」と発言した。
ウクライナ最高会議与党会派「人民奉仕者党」のアンドリー・ジュパニン議員は、コロナ防疫措置による制限にて、過去数年、オランダはじめEU諸国とのやりとりができなかったが、ようやく再開されたことを指摘した。ジュパニン議員はまた、ウクライナにとっての喫緊の問題は引き続き、クリミア占領、東部戦争、ロシアの継続する対ウクライナ侵略であるとし、ロシア・ウクライナ間国境の緊張は高いレベルで維持されており、ウクライナが身を守るには、EUによるウクライナの支持が必要だと発言した。
なお会場では、ウクライナ料理の提供や、ヘルソン州のトルベツィキー公ワイナリーのワインや「ベルディチウシケ」社ビールや菓子類など、ウクライナ各地の製品の紹介が行われていた。
今回の会議は、在オランダ・ウクライナ大使館とオープンドアウクライナNLが主催したもの。