キーウ市内でクリミア・タタール民族文化遺産展開始
ウクルインフォルムの記者が伝えた。
展覧会オープニングにて、「クリミア・プラットフォーム」活動局長のトマク氏は、「この展覧会は文化だけに関係するものではない。これは政治であり、『クリミアは誰のものか?』との問いに答えるものである。それは、間違いなくロシアのものではない。クリミアは、クリミア・タタール的なものであり、歴史上の繋がりウクライナと統合しているものである」と発言した。
同氏はまた、展示は、ウクライナの遺産におけるクリミア・タタール民族の伝統的古美術に焦点を当てたものであり、ロシア帝国・ソ連時代に広められたクリミアに関する「神話」を否定することに役立つ内容だと指摘した。
写真:ヘンナジー・ミンチェンコ/ウクルインフォルム
さらに同氏は、「この展覧会は、ウクライナの歴史とクリミア・タタール人の役割に光を当てるものであり、クリミアがあたかもウクライナと繋がりがないとか、フルシチョフがプレゼントしたとか、クリミア・タタール民族が先住民ではないとか、何らかの別のタタール民族の一部だとかいうような『神話』に対比するものである。しかし、私たちは、クリミア人(編集注:qırımlı、クリミア・タタール民族の別称)がクリミアで形成された民族であることを理解している」と発言した。
展覧会上では、クリミア・タタール民族が作った19世紀から20世紀初頭の宝飾品や日常生活用品が展示されており、金色の植物模様の飾りとコインで装飾された伝統的女性の頭飾り「フェス」や、女性のベルト用装具や、クリミアの当時の風景を描いた絵や写真、衣類、婚礼用装具などが見られる。
展覧会の企画者である市民団体「アリェム」のアジイェヴァ氏は、今回の展示は、2月17日に開始が予定されていたものだと明かした。同氏は、戦争によりスケジュールに修正が加えられたが、クリミア・タタール人の知恵である「忍耐は金、行動は真珠」に従って、展覧会は開催に至り、来年の6月30日まで開催されることになったと伝えた。また、今回の展示は、スイス政府が支援していると指摘し、スイスはアジイェヴァ氏たちがクリミアから避難した2016年から同市民団体の活動をサポートし続けてくれていると伝えた。
ヴィルド駐ウクライナ・スイス大使は、クリミア・タタール民族の問題に対する敏感さは、彼らの悲劇の歴史から来ているものであると指摘した。ヴィルド大使は、「彼らは、とりわけスターリン時代と被占領下クリミアの現在に、悲劇的な歴史を抱えるマイノリティー集団である。この民族は、存続と自決の権利を持つ。彼らが自らを示すことのできる場所は、現代ウクライナである。スイスの歴史もまた、ある種のパッチワークであり、様々なピースで構成される一体性となっている。だから私たちは、そのような問題に敏感なのだ。私たちは、多様性こそがウクライナを強固にすると確信している」と発言した。
今回の展覧会は、スイス開発協力局(SDC)の支援を受けた、市民団体「アリェム」のプロジェクト「統べる感覚」の一環で開催されたものだという。