ロシア報道:ウクライナの各地の停電につき「ウクライナは中世になった」
筆者:アンドリー・オレーニン
ロシアのプロパガンダメディアは、11月23日のロシア軍のウクライナ各地への大規模ミサイル攻撃後、ウクライナが「中世に陥った」と伝えたり、リヴィウやキーウにて殺人事件や略奪や拉致の件数が増えているなどと伝えていた。
リヴィウの状況については、これらメディアは「人々が拉致されている」「アパートが大規模に略奪されている」「控えめな年金の額で子供たちが親を殺している」などと描写し、キーウの状況については「外国人が拉致されて、身代金を要求されている」とか、ナチスドイツ時代の物品を所有しているとする「骨董品収集家のアパートが荒らされている」などと伝えていた。その際、これらプロガンダメディアは、ウクライナの匿名の住民の発言や、それら人物のソーシャルメディアの投稿なるものを「証拠」として提示していたが、しかしそれら投稿のスクリーンショットや投稿へのリンクは一切示されていなかった。
実際の状況は、正反対である。モナスティルシキー宇内務相は、11月25日、停電状況下では、ウクライナの各都市では警察官の駐留数、車両数、パトロール件数が3倍に増やされたと伝え、これにより国内の犯罪状況は悪化しなかったと報告していた。
ウクルインフォルムが国家警察キーウ市総局広報室に問い合わせたところ、11月23日〜29日の期間、首都では、通りや市民空間での殺人や拉致、略奪は1件も確認されていないとの回答を得た。また、2021年同期及び2022年10月と比べると、盗難被害件数は、むしろ減少していたという。
リヴィウでも同様である。国家警察リヴィウ州総局のドブロヴォリシカ報道官は、停電と関連する略奪、拉致、殺人の事件は確認されていないと伝えた。また、リヴィウ州警察は、市民問い合わせ用のコンタクト窓口を増やしたが、他方問い合わせ件数は普段と同じだという。
また、国家警察は、全国大規模停電が発生してからの1週間で、ウクライナ全土の犯罪件数の前週比13%の減少を記録している。とりわけ、交通事故が13%減、車上荒らしと詐欺が24%減、盗難が7%減少したと報告している。
さらに、これに先立ち、ウクライナ内務省は、2022年前半の国内の犯罪率は、前年同期比で約25%減少したと発表していた。