オランダ最高裁、クリミア博物館のスキタイ金細工をウクライナへ返還する最終的判決下す
ウクルインフォルム
オランダ最高裁判所は9日、2014年のロシア連邦によるクリミア占領開始以前にクリミアの博物館所蔵品であるスキタイ民族の金細工がオランダで展示され、占領開始後の返還先を巡って争われていた事件につき、展示品をウクライナ政府の支配が及ぶ領域へ返還することを命じる最終的な判決を下した。
ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。
裁判所は、クリミアの博物館によるこれまでの判決の破棄請求を棄却し、これによりウクライナ側の請求を満たす控訴裁判所の判決を認めた。
今回の判決により、約10年間にわたり審理が続いたスキタイ金細工の帰属問題は、金細工を保管しているアムステルダムのアラード・ピアソン博物館がウクライナの国立歴史博物館に返還することが義務付けられたことで決着した。
これに先立ち、オランダのアムステルダム控訴裁判所は2021年10月26日、2014年のロシア連邦によるクリミア占領開始以前に、クリミアの博物館の所蔵品のスキタイ民族の金細工がオランダにおける特別展にて展示され、占領開始後の返還先を巡って争われていた裁判につき、展示品をウクライナ政府の支配が及ぶ領域へと返還することを命じる判決を下していた。
その後、2022年1月26日、一時的被占領下のクリミアの4つの博物館(タウリダ中央博物館、ケルチ歴史文化保護区、バフチサライ歴史文化保護区、ヘルソネス・タウリダ国立保護区)が、この判決の破棄請求を行っていた。
なお、第一審の判決は、2016年12月14日、アムステルダム地区裁判所が下している。一審で地区裁判所は、「クリミア 黒海の金の島(スキタイの黄金)」展でクリミアの博物館の所蔵品から持ち出されていた展示品をウクライナへと返還するよう命令する判決を下していた。判決は、文化遺産は一時的展示のために貸し出した主権国家へ戻すことを定めたユネスコの条約に基づいて下されていた。