
クリミア先住民指導者の人生を描く映画がウクライナで一般公開へ 作曲は日本の三宅純氏
ウクライナ国家映画庁がフェイスブック・アカウントで伝えた。
映画庁は、「この映画の音楽世界を作り上げたのは、2012年にオスカーにノミネートされた、映画『ピナ』での仕事で知られる日本の作曲家の三宅純氏である」と説明した。
また発表には、サウンドトラックは、トルコの有名歌手カルベンが作曲・演奏した者で、その独特の声とスタイルが映画に独創的な雰囲気を与えていると書かれている。
構想では、それはジェミレフ氏が後に妻となるサフィナル氏のためにかつてカセットテープに録音した曲となることが考えられていた。しかし、オリジナルの録音した曲は使うことができなかったため、オリジナルの新曲が作られたのだという。
制作会社は、B&H Film Distribution。映画「酸素ステーション(キスネヴァ・スタンツィヤ)」は、ウクライナの映画館では4月10日に上映が始まる。
この映画は、幼少期にクリミアから追放されソ連の人権活動家・反体制活動家として生きてきたクリミア・タタール人の指導者ムスタファ・ジェミレフ氏の人生における様々な出来事や、1980年の夏の出来事についてのジェミレフ氏本人の話をもとにして作られたもの。
映画では、ジェミレフ氏がソ連時代にヤクーツクのジリャンカ村に4年間流刑され、酸素ステーションで働かされていた時のことが描かれている。これはジェミレフ氏の存在が世界中で知られるようになった、ソ連に拘束された際の300日間のハンガーストライキの後の出来事となる。
なお、作曲家の三宅純氏もまた、ロシアによる対ウクライナ全面侵略の前に同映画の依頼を受け、全面侵略後にも制作チームとやりとりを続けていたことをXアカウントで報告している。
2020年の暮れに、あるウクライナ映画の音楽を依頼された。
— Jun Miyake /三宅純 (@jun_miyake) February 28, 2022
ロシアとの確執の中に生きた政治犯の物語で、撮影は終了、編集完了目前でこの事態を迎えた。しばしチームからの連絡が途絶えていたが「先のことはわからないけど、今は無事でいる。我々の結束は固い」とのこと。とにかく安全を確保してほしい
しばし音信不通になっていたウクライナ映画の制作陣から連絡が入った。キエフから西部の都市に避難し、元気とは言えないまでも安全は確保している。映画への情熱で精神が保たれている、まもなく編集が完成するので送っても良いか?とのこと。強い!感動的。
— Jun Miyake /三宅純 (@jun_miyake) March 16, 2022
しばし音信不通だったウクライナ映画のチームから完成間近のビデオファイルが届いた。編集者が負傷してPTSDに悩まされ、作業が中断しているとのこと。ミサイルの脅威に耐えながら、熾烈な環境下での制作進行に頭がさがる。ちょっとしか見られてないけど、映像のクオリティが高い!
— Jun Miyake /三宅純 (@jun_miyake) May 25, 2022
スコアを担当したウクライナ映画"Oxygen Station"が無事エストニア映画祭でプレミアを迎えたとの報。制作開始からパンデミックと戦火という試練を乗り越えての完成、そしてプレミア、感慨深いです。遠くまで旅をする作品になりますように。 https://t.co/Y6qxO0AKSc
— Jun Miyake /三宅純 (@jun_miyake) November 11, 2023
映画の公式トレーラー(B&H Film Distribution)