「拉致、人道支援妨害、通信遮断…」 ヘルソン州副議長、ロシアの戦術変更を説明

ロシアの占領の続くウクライナ南部ヘルソン州のソボレウシキー州議会副議長は、ヘルソン州では「クリミア・シナリオ」はうまくいかなかったが、ロシアは今度は、人道回廊や住民の避難を妨害し、活動家を拉致、脅迫し、力を行使して住民の間にロシアに対する忠誠心を「形成」しようとしていると指摘した。

ソボレウシキー氏がフェイスブック・アカウントに同州の現状に関する報告を行った

ソボレウシキー氏は、「州を占拠した後、オーク(編集注:ロシア軍人への蔑称)たちは、私たちのところで、解放歓迎や幸せな住民というような雰囲気を作らねばならなかった。彼らは、ヘルソン州で『クリミアのシナリオ』を繰り返すことを期待していたのだ。そのためには、州政府、地方自治体、大型ビジネス代表者、社会のリーダーたちからの組織面、情報面でのサポートが必要だった。(しかし)そのストーリーは、ひび割れて失敗した」と書き込んだ。

同氏はまた、ヘルソン州議会が、戦争が始まってからウクライナの領土一体性を支持し、偽「共和国」創設「住民投票」は認めないという内容の公の呼びかけを採択したこと、自治体首長たちが侵略者の旗の下で、侵略者の「法」に従って働くことを拒絶したことを喚起した。

同氏は、このような状況を受けて、「彼らは州を内側から体系的かつ大規模に加工する手段に移行した」と述べ、政府管理地域にある州外からの人道支援、とりわけ医薬品の供給や、住民の集団避難を全て遮断したと指摘した。同氏は、「占領者たちは、市役所から国旗を下ろすのをやめた。しかし、各大型自治体、首長、市長のところに、自分の『監視人』を据えた。地方自治体は、あらゆる重要な決定につきそれら人物と合意することを余儀なくさせられている。彼らが重要な主張とぶつかる場合は、危険、家宅捜索、拉致、尋問、排除が始まる」と説明した。

さらに同氏は、各地で活発で愛国的な活動をしている人々に対する体系的な「排除」が行われているとし、そのような活動家は拉致され、脅迫されたり、暴行を加えられたりしていると説明した。

また、州全体で医療機関の代表者に対しても体系的な圧力が加えられているとし、院長はロシア占領者の「法」に従うこと、ロシアからの医療品の供給を組織することが強制されているという。

加えて同氏は、「彼らはジャーナリストを拉致しており、沈黙させる、あるいは、州の人々の反発心について報じることを止めるさせようとしている。また、2つの州劇場の代表が拘束され、尋問され、自宅で家宅捜索が行われた。もう文化人や、オピニオンリーダーにも手が出されているのだ。拉致リストには、最近、聖職者も加わった」と指摘した。

同氏はまた、ヘルソン州では、ウクライナのテレビやラジオの放送が妨害されており、ロシアからの番組が放送されるようになったと述べた。その上で同氏は、「これはほんの一部に過ぎない」とし、「私たちの勝利の後、平和到来の後」には、もっと多くのことを公開し、住民と治安機関の評価を仰ぐことになると説明した。