ゼレンシキー宇大統領、ロシア占領軍による化学兵器使用の可能性を警告

ウクライナのゼレンシキー大統領は11日、ロシア占領者がマリウポリで化学兵器を使う可能性に言及したと報告した。

ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージにて発言した

ゼレンシキー氏は、「今日、占領者側から、ウクライナと私たちの防衛者に対して、新たなテロの段階を彼らが準備していることを示す新たな声明が聞かれた。占領者の拡声器役の一人が、彼らはマリウポリの防衛者に対して化学兵器を使うことができると発言したのだ。私たちは、その件を最大限深刻に見ている」と発言した。

また同氏は、各国の首脳たちに対して、「ロシア軍人による化学兵器のあり得る使用はすでに議論されてきた。その時点で、そのことは、ロシアの侵略によりこれまでよりはるかに厳しく迅速に対応しなければならないことを意味していた」と指摘した。

同氏は、現在欧州連合(EU)が第6制裁パッケージを準備し始めたことを伝え、次の制裁はロシアから大量破壊兵器に関する言葉が出てこなくなるようなものにすべきだとし、「対露石油禁輸は絶対だ。石油に触れない新たな対露制裁パッケージはどんなものであれ、モスクワでは笑いと共に受け止められることになろう」と強調した。

これに先立ち、11日、東部マリウポリ市の防衛戦に参加するウクライナの国家警護隊特命分遣隊アゾフ連隊は、ロシア占領軍が同市のウクライナ軍人と民間人に対して、無人機から不明の毒性物質を投下したと発表していた。しかし、ゼレンシキー大統領は、その約2時間後に公開されたこの動画メッセージではアゾフ連隊の発表に言及しておらず、現時点では本件の詳細は明らかになっていない。

なお、11日、ウクライナの国家安全保障国防会議(NSDC)傘下の偽情報対策センターは、ロシア軍がマリウポリの「アゾフスタリ」製鉄コンビナートで防衛をしているウクライナ軍に対して、化学兵器を使おうとしているようだと指摘していた。同センターは、武装集団「DPR」のバスーリン「司令官」による「現時点では、その工場の封鎖をどうにかし、あらゆる出入り口を見つけなければならない。基本的にはそれは可能なことだ。その後は、思うに、化学部隊に呼びかけたら、彼らが穴からモグラをいぶり出す手段を見つけるだろう」との発言を報告していた。

なお、米国や英国は、これまでにもロシア軍が化学・生物兵器を使用する可能性があると指摘しており、ウクライナに対してそのような兵器に対する防護用品を支援品に加えている。