「マリウポリの人々のためなら、私たちはどんな交換の準備もある」=ゼレンシキー宇大統領

ウクライナのゼレンシキー大統領は20日、ロシア軍による包囲の続く東部マリウポリにつき、現時点でいつ同市を解囲できるかはわからないが、ウクライナはどのような形の被拘束者交換も行う準備があると発言した。

ゼレンシキー大統領がキーウ(キエフ)を訪問したミシェル欧州理事会議長との共同記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ゼレンシキー氏は、「マリウポリの状況は悪化している。残念ながら、私たちは、肯定的な結果を得られていない。そのため、私は、いつ私たちがマリウポリを解囲できるかわからない」と発言した。

同氏はまた、マリウポリ包囲解放のためには二つの手段があるとし、「1つ目は、重火器による真剣な支援であり、私たちはそれに期待している。今のところ私たちのところには、そのような兵器は不足している。2つ目は、外交的手段だ。今のところ、ロシアはそれに同意していない」と強調した。

加えて同氏は、ウクライナ側は、ロシア軍人などとの被拘束者交換に応じる準備があると述べ、「彼ら(ロシア軍)は、遺体や負傷者を放り投げて去っていった。私たちは、自分たちの軍人や民間人のためにどのような交換の形にも応じる準備がある」と発言した。

さらに同氏は、マリウポリにに残っているウクライナ軍人は全員、勝利を望んでいるのであり、誰も降伏したがっていないと発言した。同氏は、「私たちの戦士の手には、何百人の負傷者がいる。普通の民間人を背後に守りながら、彼らは自らの命を失っている」と発言した。

同氏は、明日にもマリウポリの人々を助けると言いたくなるが、「しかし、私はそうは言えないのだ」と述べた。

また同氏は、ロシアは常に人道回廊を提案しているとし、「そしていくつかの回廊は機能している。そのおかげで、人々を脱出させられた」と指摘した。同時に、同氏は、マリウポリから何千人もの人がいわゆる「DPR/LPR」に連れて行かれたとも明かし、彼らがどうなったかはわからないと発言した。

その他、同日、マリウポリ防衛戦に参加するアゾフ連隊のパラマル副隊長は、ツイッター・アカウントに動画メッセージを掲載し、現在ウクライナの軍人と民間人のいる工場「アゾフスタリ」では、ロシア軍が停戦を守らないため、民間人はシェルターを出ることができなかったと伝えた

さらにパラマル氏は、ウクライナ・ロシア和平協議のウクライナ代表団参加者である、ポドリャク大統領府長官顧問とアラハミヤ最高会議議員と話したとし、両者がマリウポリまでやってきて、ロシア側のメジンスキー代表と現地に残る軍事基地の避難について協議する準備があると述べたと伝えた。

同時に同氏は、ウクライナ軍人は第三者の支援を受けて、銃を手にしたままであれば、マリウポリから避難をする準備があると発言した。また、同氏は、ロシア軍が負傷者・死傷者を連れ出すことを許可することを望んでいるとも伝えた。

その上で同氏は、全世界に対して、安全を保証するよう呼びかけ、ロシア側がウクライナ軍人に提示している、武器を捨てて投降せよ、との条件は支持しないと強調した。

これに先立ち、18日、ロシアからの攻撃を受けるウクライナ東部マリウポリにて、防衛戦に参加するウクライナの部隊の隊長は、世界の国々に対して民間人や負傷者の避難のための支援を要請していた。

なお、現在、ロシア侵略軍がウクライナ東部マリウポリを包囲し続けており、これにより同市の人道状況が著しく悪化している他、同市を防衛するウクライナ軍人の戦況も悪化を続けている。

アレストヴィチ宇大統領府長官顧問は3月18日、現時点でロシア軍による東部マリウポリ市の包囲を解除することは不可能だとし、ウクライナ政権は政治・外交的手段の作業をしていると発言した。

さらに、ゼレンシキー大統領は4月16日、ロシアがマリウポリを防衛しているウクライナ軍人に投降することを提案しており、命の保証を約束しているが、実際には、2014年のイロヴァイシクの時のように、ウクライナ軍人を銃殺したがっている可能性は排除できないと発言している。

18日、現在拘置されている、プーチン露大統領に近いウクライナの政治家、ヴィクトル・メドヴェチューク容疑者は、ゼレンシキー宇大統領とプーチン露大統領に対して、自身とマリウポリで戦闘するウクライナ軍人、と同市市民の交換を提案していた。

ヴェレシチューク副首相は、20日にウクライナとロシアがマリウポリ市から女性、児童、高齢者を避難させるための人道回廊を設置することで合意したと発表していた。

写真:大統領府