ウクライナ政権、ロシアの作るいかなる偽「人民共和国」も認められないと指摘

ウクライナのゼレンシキー大統領は21日、ロシア軍に占領されているウクライナ南部の住民に対して、個人情報をロシア占領者に提示しないよう呼びかけ、その情報は後に偽「住民投票」実施に利用される可能性があると指摘した。

ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージにて発言した

ゼレンシキー氏は、「ウクライナ南部ヘルソン州、ザポリッジャ州の住民に呼びかける。あなたが侵略者に提示する個人情報については、注意深く、とても注意深く接するようにして欲しい。もし彼らがあなたに、何らかのアンケートを埋めたり、身分証明書の情報を書いたりするように頼んできたら、それはあなたを助けるためのものではないことを知っておいて欲しい。それは、ある土地に住む人々のリスト作りのためでもない。あなた方に人道支援を渡すためでもない。それは、モスクワからそのような芝居を本当に行うチームがやってきた場合に、あなた方の土地でいわゆる『住民投票』を偽装するためなのだ。それが現実だ。気をつけて欲しい」と呼びかけた。

同氏はまた、ウクライナの土地を併合する試みは一切うまくいかないと強調し、「いかなる『KhPR』もうまくいかない。もし誰かが新たな併合を望んでいたとしても、それはロシアに対するさらに強力な制裁を招くだけである」と強調した。

ウクライナ外務省も21日、偽「住民投票」は誰にも認められないとする声明を発出した

外務省は、ロシア軍は占領下ウクライナ南部にていわゆる「住民投票」の準備を続けているとし、「ロシアは、実質的に、2014年にルハンシク・ドネツィク両州で行ったのと同じ手段を取っている」と指摘した。

さらに、外務省は、ロシアの犯罪行為が占領下住民から支持されていないことは明白であるとし、むしろウクライナ国民はロシア占領政権に対する抵抗を続けていることを喚起した。また「そのため、モスクワは、私たちの国の南部にいわゆる人民共和国を創設するための『投票』結果をあからさまな偽装の準備を始めた」と指摘した。

そして、外務省は、そのクレムリンの占領政権「合法化」と住民の強制動員実施のための偽の根拠作りの試みは失敗に終わるだろうと指摘し、「国際法と国内法の規範に従えば、その偽住民投票の結果は、法的に無意味である。ウクライナも全文明世界も、そのロシア連邦の違法かつ犯罪的決定は決して認めない」と強調した。

その上で外務省は、国際社会に対して、ウクライナ南部のいわゆる「住民投票」の準備を非難するよう、またその「結果」を認めないよう要請し、さらにロシアがウクライナに対する侵略を止めるように、ロシアに対する包括的圧力を継続するよう呼びかけた。

これに先立ち、21日、ウクライナ最高会議(国会)人権問題全権を務めるデニーソヴァ氏は、ロシア軍が占領するウクライナ南部ヘルソン州にて、いわゆる「ヘルソン人民共和国(KhPR)」の創設を宣言するために、偽「住民投票」を急いで実施したがっているようだと指摘していた。また、同氏は、ロシア軍が4月27日に前倒しされたと報告し、「自称『KhPR』の創設の後、ロシア軍は、ウクライナとの戦争への住民の強制的動員の組織を計画している」との見方を示していた。