ロシア軍、ヘルソン州からロシア領へ穀物を大量に持ち出すおそれあり=専門家

ダニーロウ近東研究センター副所長は、ロシア侵略軍が占領するウクライナ南部ヘルソン州から同地の食糧安全保障に必要な穀物の備蓄を持ち出してしまうおそれがあると指摘した。

27日、ダニーロウ氏がウクルインフォルムで開催されたラウンドテーブルの際に発言した。

ダニーロウ氏は、「ヘルソン州における弾圧は続いている。抵抗もまた止んでいない。状況は変わりやすいが、あるところでは徐々に悪化、あるところでは凄惨となっている。現在、人々の間で備蓄やお金が尽きる段階に入るところであり、5月中旬頃には、次の人道危機のピークとなる可能性がある。同時に、およそ来月末には、略奪の第二段階が訪れるだろう。まだ略奪をしていない者が略奪をし出したり、ヘルソンやホーラ・プリスタイやノヴァー・カホウカといった大型穀物貯蔵庫のある町から、大規模な穀物の持ち出しが始まるおそれがある」と発言した。

さらに同氏は、ヘルソン港には穀物を載せた船が数隻停泊している状態だとし、「夏の初め頃、食料品の値段、穀物の値段がピークに達する時、それまでに私たちが領土を解放していなかったら、ロシア人たちはそれら全てを完全に持ち去り始めるだろう」と指摘した。

また同氏は、現時点でも占領者は多くの種子、燃料、機材を持ち出していると発言した。

その他、28日、最高会議(国会)は、テレグラム・チャンネルにて、ロシア連邦のクラスノヤルスク地方議会ウェブサイトに、「ヘルソン地方農家の余剰作物の収用」計画の文が公開されたと伝えた

発表によれば、同議会の村・農業政策委員会が「ウクライナからの農作物供給の主導を採択した」と書かれているという。

その採択された文には、「この地方には、キュウリ生産の企業が1社しかなく、また外国の制裁発動の結果、その他の野菜や穀物の不足が、クラスノヤルスク地方だけでなく、連邦レベルで各地で実感されていることから、ヘルソン地方の農家の昨年の余剰分と今年の作物の収用は、小規模農業への支援付与の手段の一つとなる」と書かれている。

さらに、ソーシャルメディア上では、同情報がインターネット上に公開され公開された後に、公式のプレスリリースへのリンクが同議会ウェブサイトから削除されたと指摘されている。ただし、同情報はすでにキャッシュが残されている