ロシアとの友好和平条約はない 必要なのは戦争から脱出するための文書=ウクライナ大統領府長官顧問
ロシア連邦との合意に署名が行われる場合、その文書には戦争からの脱出の論理と、ロシアによるウクライナへのさらなる侵略を不可能とするためのレッドラインが記述されることになる。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問がラジオ・リバティへのインタビュー時に発言した。
ポドリャク氏は、「文書は、戦争からの脱出の論理を記すものとなる。ウクライナ全土の停戦、ロシア軍のウクライナ領からの撤退、被拘束者の交換だ。つまり、そこには、両国がどのように戦争から脱出するかについてのあらゆる項目が書かれなければならない。私たちの間に、もはや何らかの『友好平和条約』など出てこないことは明白だ。(中略)しかし、私たちにとっては、ウクライナ領にはもう一切入ることが不可能だということを示す、ロシアに対してのレッドラインが確認されなければならない」と発言した。
同時に同氏は、現在も両国のグループは作業をオンラインで続けているものの、協議プロセスは以前より進捗が緩慢となっていると報告した。さらに、同氏は、現在対面式で協議を行う理由は見当たらないとも発言した。
同氏は、「イスタンブル・コミュニケには、ウクライナのこのような戦争が二度と繰り返されないための形式的決定や、完全に法的に正しいウクライナにとっての安全保証を伴った戦争からの脱出計画が提案されており、ウクライナが今後はロシアと一対一で対峙しなくてもすむような内容となっている。しかし、同コミュニケ提示後に、私たちは、キーウ(キエフ)州で、ロシア連邦の直接的な戦争犯罪の全くもって否定し得ない証拠を手に入れてしまった。ブチャだけではなく、複数の私たちの市や町でだ。そのことが、何より感情面とその協議への受け止め方に著しい影響を与えた。私たちのみならず、米国、英国、トルコといった潜在的保証国に対してもだ。それが協議の進展、流れを変えたのだ」と発言した。
また同氏は、第二に、ロシアにはまだウクライナ東部で活発な戦闘を行うのに十分な戦力があることから、ロシアは今後も他者から恐れられることを目的に、自身の戦闘能力を示そうと、一定の戦術的勝利を得たがっているのだと指摘した。
同氏は、「私たちは、残念ながら、ロシア連邦が今のところ世界における自らの新しい役割をまともに受け入れる準備が全くないことを理解している。ロシアの新しい役割とは、何らかの『超大国』ではなく、『地域侵略国』である。同国は、それを認識した上で、自らの野心を下げるべきなのだ」と強調した。
これに先立ち、ゼレンシキー大統領は28日、ウクライナの安全保証合意文書案は現在も準備が続いており、完成次第、皆に公開されると発言していた。
3月29日、トルコのイスタンブルにて、ウクライナとロシアの和平協議が開催された。ウクライナ側は、通称「イスタンブル・コミュニケ」と呼ばれる、同国の将来の安全の保証に関するウクライナ側の立場を記した文書をロシア側に提示し、また15年間のクリミア問題の協議実施を提案している。
協議後、ウクライナ代表団の一人のアラハミヤ最高会議議員は、安全保証合意はウクライナのための安全を具体的に保証するきちんと機能するメカニズムでなければならず、保証国に、北大西洋条約機構(NATO)条約第5条に似た、義務の生じるもので、しかし、侵略があった際には、3日以内に協議を実施し、支援を提供するというものだとし、軍、武器、空の封鎖などの軍事支援の形を取り得るものだ、と説明した。
さらに同氏は、国連安全保障理事会常任理国、英国、中国、ロシア、米国、フランス、トルコ、ドイツ、カナダ、イタリア、ポーランド、イスラエルを潜在的安全保証国と見ていると発言していた。