ウクライナ政権関係者、宇の譲歩を予想したNYT記事を批判 「ブチャを訪問するべき」

ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は20日、米ニューヨークタイムズ紙編集部による、おそらくウクライナは戦争を止めるために領土面で妥協せざるを得ないだろうとの予想を示した論説を批判した。

ウクライナ国営ロシア語テレビ局「家」出演時に発言した

ポドリャク氏は、ニューヨークタイムズの論説を「非常に奇妙」だと形容し、「暖かい執務室でコーヒーを飲みながら、グローバルな世界の問題を考えるのはとても素敵だろう」と皮肉を述べた。そして、「『何かしら譲歩してみたら』と書いている人物は、ここへ来て、身近な人が殺されたり強姦されたりした人たちと話してみたいとは思わないだろうか? ニューヨークタイムズよ、そうすることに問題があるか? ここでコーヒーを飲んで、ブチャで彼らと話すのはどうだ」と発言した。

さらに同氏は、2014年もウクライナ人に対しては、ロシアを挑発するなと呼びかけられていたとし、もし今領土面で譲歩したら、ロシアは数年後にはさらに別の領土を奪いたがるだろうし、ウクライナへまたやって来て、さらに領土を占領し、人を殺していくだろうと発言した。

同氏は、「それは明々白々なことだ。そんなことを提案するためには、どれだけ非知的となる必要があるのだろうか。明日ポルタヴァ州が奪われ、オデーサ州、ミコライウ州が奪われ、私たちは徐々に殺されていくのだ」と強調した。

これに先立ち、米ニューヨークタイムズ紙が19日に、もし紛争が真の協議の段階に入るなら、ウクライナの首脳陣は領土面で痛みのある決定を受け入れざるを得なくなるだろうとする論説「The War in Ukraine Is Getting Complicated, and America Isn’t Ready」を掲載していた。

同記事ではまた、ウクライナが2014年に奪われた領土も全て取り戻すような、ロシアに対する決定的な勝利を達成するというのは「現実的な目的ではない」との見方が提示されている。さらに、記者たちは、ロシアは現時点までは計画も戦闘行為もうまくいってないが、それでも核兵器を持つ超大国であるし、プーチン露大統領は特別な威信をかけて侵攻に踏み切ったのだと説明している。

さらに同紙は、米国のウクライナへの支持は際限なく続くわけではない、米国民はむしろインフレの方をより心配している、と主張している。

写真:大統領府