ロシアはウクライナ南部ですでに3層目の防衛線を築いている=宇軍情報機関
ウクライナのスキビツィキー国防省情報総局代表者は、ロシア軍が占領するウクライナ南部ヘルソン州とザポリッジャ州で行っている戦力再編は、同軍による両州の防衛を強化しようという意図を示していると発言した。
情報総局がテレグラム・チャンネルにてスキビツィキー氏の発言を発表した。
スキビツィキー氏は、「ヘルソン州とザポリッジャ州の奪取された地にて、私たちは、クリミア半島からの部隊の移動の結果生じている強化を目にしている。それはロシア連邦から(編集注:クリミアを経由する)通過によって行われているものである。つまり、私たちは、ロシアがかなり強力な部隊編成をウクライナ南部被占領地へ展開しているのを目にしているのである」と伝えた。
また、この編成には、陸軍以外に、空軍、海軍の部隊も入っていると説明した。
その上で同氏は、「私たちは、5月初めから占領軍が自らの防衛を強化し始めたのを見ている。彼らは、関連の技術設備を築き、第1層でもなく第2層でもない、第3層の防衛線を築いている。そして、それは、(中略)ロシアがその地に長く居座りたがっていることを意味している。これら軍事的側面、軍事的指標が、ロシアによるこれらの地を奪い、意地しようという意図を示しているのである」と強調した。
なお、2月24日のロシア軍のウクライナに対する全面的侵略により、現在ウクライナ南部では、ヘルソン州とザポリッジャ州の一部がロシアにより占領されている。占領開始当初は、両州各地で住民による反占領集会が盛んだったが、ロシア軍人よる地方自治体関係者、記者、教師、活動家、聖職者などへの拉致、略奪、拷問などの被害が相次ぎ、次第に反占領集会の頻度は下がっていた。
4月24日、英国防省は防衛インテリジェンスの報告として、ロシア軍にとって、クリミアとの陸上回廊の確立とウクライナ南部の支配という目標達成における重要な町となっているとの見方を示した。
4月27日、ヘルソン市では、住民たちが偽「住民投票」とロシア占領に反対する親ウクライナ集会を開催していた。
5月6日、タシェヴァ・クリミア自治共和国ウクライナ大統領常駐代表は、ロシア占領者は、ウクライナ南部の新たに占領した領土をクリミアに併合させてあらたな行政区を作る可能性を含め、占領地統治に関する複数の案を検討していると指摘していた。