「ロシア人は犯罪の証拠の隠滅のために自らオレニウカを攻撃した」=マリウポリ市長顧問
アンドリュシチェンコ・マリウポリ市長顧問は、29日、ロシア軍が自ら占領するウクライナ東部ドネツィク州オレニウカの矯正施設に対する砲撃を行ったことにつき、それはロシア側による戦争犯罪の証拠隠滅だと指摘した。
アンドリュシチェンコ氏がテレグラム・チャンネルにて伝えた。
アンドリュシチェンコ氏は、ロシアの報道機関が「ウクライナ軍のオレニウカの牢屋への砲撃の結果、40名が死亡、130名が負傷」と伝えていることにつき、「またもやロシアの嘘だ」とコメントした。さらに同氏は、「今のところ確実な情報はないが、前線は、オレニウカを何かで砲撃できる状態ではない。オレニウカの被拘束者や濾過牢屋から解放された者たちによるロシア人の私たちウクライナ人に対する拷問や処刑の証言や、昨日のウクライナ人被拘束者に対する拷問と殺人の動画からして、あり得るのはただ一つ、さらなる戦争犯罪の証拠隠滅である。ロシア人の非人間性はそれを行い得る」と発言した。
同時に同氏は、オレニウカの矯正施設には、マリウポリを防衛していた軍人やアゾフ連隊隊員だけでなく、「濾過キャンプ」にて拘束されたマリウポリ市民が少なくとも1万人いた可能性があると指摘した。
なお、ドネツィク州オレニウカには、占領政権による濾過施設(編集注:厳重な人物調査を行う場所)が2つあることが知られていた。これら施設には、元治安機関職員、親ウクライナ活動家、調査にて「望ましくない」人物と認定された市民、マリウポリ市民の避難支援を行っていたボランティアなどが拘束されていた他、マリウポリ防衛戦に参加し、その後投降したウクライナ軍人も収容されていることが知られていた。
これに先立ち、ウクライナ軍参謀本部は5月17日、ウクライナ最高軍司令部が東部マリウポリ製鉄工場「アゾフスタリ」に駐留する部隊の指揮官たちに対して、人員の命を守るよう命令を出したと発表していた。これを受け、264名の軍人をロシアに占領されている自治体に避難する作戦が実行された。その際、参謀本部は、内211名の軍人は人道回廊を通じて被占領下のオレニウカへと避難させられたとし、彼らの今後のウクライナ政府管理地域への帰還は、(被拘束者)交換手続きを通じて行われると説明していた。