ロシアでの総動員令発令はウクライナにこそ利がある=宇軍事インテリジェンス
ウクライナ国防省情報総局のスキビツィキー少将は、ロシア連邦にて総動員令が発令された場合、プーチン政権に対しての大きなダメージとなるだろうとの見方を示した。
スキビツィキー少将がニュースサイト「キーウポスト」へのインタビュー時に発言した。
スキビツィキー氏は、「総動員の発令は、プーチン政権への著しいダメージとなる。なぜなら、それはロシアが定めていたあらゆる課題が遂行できなかったということ、プーチンのいわゆる『特別作戦』が結果に達さなかったということ、そして本当の戦争が進行していることを認めることを意味するからだ。さらには、総動員の発令は、ウクライナへの宣戦布告を意味し、ロシアが侵略国であることを認めることになる。私たちは現在情報を集め始めているのだが、ロシア連邦ではそのような動員関連の情報レトリックが非常に高まっている」と発言した。
また同氏は、ロシア共産党のジュガーノフ党首や他のロシアの政治家が宣戦布告と動員発令が必要だと発言し始めているとし、その際彼らは、ウクライナとの戦争ではなく、北大西洋条約機構(NATO)や米国との戦争について話をしていると指摘した。
同時に同氏は、総動員の発令はウクライナに利するだけであるとし、その理由としてロシアの若者が戦場には行きたがっていないからだとの見方を示した。同氏は、「私たちがロシア社会を分析したところ、基本的に50歳以上の戦争に行かない人々がプーチン政権の戦争を支持していることがわかっている。戦いに行くことになるのは20〜30歳の若者たちだ。そのため、総動員の発令は、ロシア国民にその血塗られた戦争を継続する準備がどれだけあるかを示す指標となるのだ」と説明した。
また同氏は、動員問題は全面的侵攻開始当初からロシア首脳陣の間で議論されているものだと喚起した。同氏は、特にキーウ州、チェルニヒウ州、ウクライナ南部でロシア軍が損耗を出した後、彼らは、損耗分の人員を補充するために様々な手段を取り始めたとし、具体的に、いわゆる志願兵大隊やら予備兵からなる大隊を編成したり、おなじみの民間軍事会社たちを関与させたり、ロシア軍に新たに「第3軍団」を編成したりしたと説明した。またプーチン露大統領が兵員を最大13万7000人に増員する大統領令を発令したことも喚起した上で、スキビツィキー氏は、それら全てのことは、人的リソースを集めて、さらなる戦闘を続けることを目的としたものだと指摘した。