ゼレンシキー宇大統領と外務省、露がウクライナ領を通るガスパイプラインを破壊する可能性に言及
ウクライナのゼレンシキー大統領は、ロシアが適当な口実でウクライナ領を通る天然ガスパイプラインを攻撃して、使用不可能にし、それから欧州に対して海底ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の使用開始を迫る可能性に言及した。
ゼレンシキー大統領が独テレビ局ZDFへのインタビュー時に発言した。
ゼレンシキー氏は、「…そうして、彼ら(ロシア)は、ウクライナのガス輸送システムを攻撃するだろう。また自分たちが非難されることのないように、彼らは自国領内でテロを起こすだろう」と発言した。
そして同氏は、ロシアは、ウクライナのガス輸送システムを壊して使えなくするためにあらゆることを行うとし、その後プーチン露大統領は欧州に対して、「ノルド・ストリーム2」を使う以外の手段はもうない、と述べるだろうとの予想を示した。
同氏は、「そして、プーチンは、ドイツにはそれを行える可能性が常にある、と強調し続けるだろう」と発言した。
また、13日、ウクライナ外務省もまた、ロシアが欧州各国の政府に対して、エネルギー問題で脅迫して制裁解除をはじめとする譲歩を迫る可能性を指摘した。
「ロシアのエネルギーテロリズム」と題された外務省コメントには、これまでにロシアが試みた「ルーブルでの天然ガス料金の支払い」「ガス供給の停止」などの手段は成功しておらず、欧州はむしろエネルギー供給源を多様化し、ロシアからの輸入を拒否し始めたと指摘されている。そして外務省は、そのためプーチン露大統領は手段を脅迫からテロに切り替え、物理的にエネルギーインフラに損傷を加えることに決めたと指摘し、プーチン氏のその目的はエネルギー供給ルートを破壊することで、「ノルド・ストリーム2」の使用開始を迫ることだとの見方を示した。
外務省は、ウクライナ政権はロシアの行動を常にモニターしており、その行動には前述の戦略実現に向けた準備の兆候が見られると警告した。そして、ゼレンシキー宇大統領によるウクライナ国内のパイプライン破壊の可能性の他、ウクライナは「トルコ・ストリーム」に関する同様の計画の可能性に関する情報も有していると指摘した。
また、外務省は、ロシアから「トルコ・ストリームを壊そうと計画していた工作員を拘束した」などという発表が出ているが、それは偽情報戦略の一部だと指摘した。
その上で外務省は、パートナーたちがロシアのエネルギーテロを防ぐことのできる唯一の手段は、「ノルド・ストリーム2」の開始あるいは対露制裁の解除はどんなことがあろうと行われない、という強固な立場を取り、公に宣言することだと指摘した。
写真:大統領府