ゼレンシキー宇大統領、ロシア軍がカホウカ水力発電所に爆発物を設置したと発言

ウクライナのゼレンシキー大統領は20日、ロシア軍は、占領する南部ヘルソン州のカホウカ水力発電所に爆発物を設置し、テロの準備をしていると指摘した上で、同発電所に国際監視団を派遣するよう要請した。

ゼレンシキー大統領が欧州理事会へのオンラインスピーチの際に発言した

ゼレンシキー氏は、「ロシアは、ウクライナ南部の大規模な災害に向けて意図的に下地を作っている。私たちは、ロシアのテロリストたちが、カホウカ水力発電所のダムと機材に爆発物を設置したとの情報を有している」と発言した。

同氏はまた、カホウカ水力発電所は、大型発電所の1つであり、ダムは約1800万立法メートルの水を貯めており、ロシアのテロリストがそのダムを破壊した場合、ヘルソン市を含む80以上の自治体が急速な洪水に見舞われ、何十万人もの人が被害を受ける可能性があると発言した。

さらに同氏は、ウクライナ南部で広範にわたって水の供給ができなくなる可能性があるとも指摘した。

加えて同氏は、カホウカ貯水池の水は、ドニプロ川のより上流にあるザポリッジャ原子力発電所の冷却用にも使われており、そのロシアのテロによって、同原発が冷却用の水を得られなくなる可能性もあると発言した。

また、同氏は、ドニプロ川からウクライナ南部クリミアへと水を供給するための水路で、ロシアが行っていると主張している工事も完全に崩壊してしまうだろうと指摘した。

同氏は、「私たちの情報では、ロシアはそのテロを行うためのあらゆることをすでに準備し終えている。ウクライナの作業員はカホウカ発電所からすでに追い出されており、そこにいるのはロシア国民だけだ。彼らが完全に発電所を支配している。ロシアがその災害を実現できないようにするためには、速やかに行動しなければならない。カホウカ水力発電所へと国際監視団を送らねばならない。そこにウクライナの人員を戻して、機材とダムの爆発物の速やかかつ専門的な除去を行わねばならない」と強調した。さらに同氏は、ロシアは、そこでテロを起こして、そのテロにつきウクライナを非難するという、またしても「偽旗作戦」を行おうとしていると指摘した。

同氏は、そのたった1度のテロを止められなければ、環境破壊、人道面の人為的被害が起き、それは「歴史的災害」と呼ばれるようなものになりかねないと強調した。

写真:大統領府