オレニウカ収容所で殺害されたウクライナ軍人54名の遺体が返還 DNA検査実施
ウクライナの一時的被占領地再統合省は、12日までに、昨年7月、ロシアの占領するドネツィク州オレニウカの収容所にて殺害されたウクライナ軍人の遺体54人分が返還されており、現在遺体のDNA検査が行われていると伝えた。
12日、再統合省が、テレグラム・チャンネルにて、オレニウカで亡くなった軍人の親族を交えた、捕虜扱い問題調整本部会合について報告した。
発表には、国際赤十字委員会の仲介のおかげで、困難な協議を経て、オレニウカから54名のウクライナ軍人の遺体を返還させることに成功できていると書かれている。
同省は、DNA検査がまだ続いているが多くの時間が必要となるとし、同時に遺族たちが遺体の特定がどれだけ早く終わるかを気にしていることを伝えた。
行方不明者問題全権事務所のアンヘリン代表は、DNA検査の実施が長引く理由を説明し、「英雄たちの遺体を取り戻して後、私たちは遺体を検死のために特定機関に渡している。その後、捜査班が遺体の情報を遺族に伝える。DNA検査が長引くのは、オレニウカにおける犯罪のその他の側面の捜査と関係している」と発言した。
会合参加者は、遺体特定プロセスの加速方策をとることで合意したという。
これに先立ち、ウクライナ軍参謀本部は、7月29日の被占領下ドネツィク州オレニウカにあるウクライナ人捕虜の収容されていた収容所に対して、ロシア軍が意図的に砲撃したと発表していた。同日、ウクライナの検事総局は、死者約40名、負傷者130名の被害を出した同日のドネツィク州オレニウカへのロシア連邦の砲撃についての刑事捜査を開始したと発表していた。
なお、ドネツィク州オレニウカには、占領政権による濾過施設(編集注:厳重な人物調査を行う場所)が2つあることが知られていた。これら施設には、元治安機関職員、親ウクライナ活動家、調査にて「望ましくない」人物と認定された市民、マリウポリ市民の避難支援を行っていたボランティアなどが拘束されていた他、マリウポリ防衛戦に参加し、その後投降したウクライナ軍人も収容されていることが知られていた。
ウクライナ軍参謀本部は5月17日、ウクライナ最高軍司令部が東部マリウポリ製鉄工場「アゾフスタリ」に駐留する部隊の指揮官たちに対して、人員の命を守るよう命令を出したと発表していた。これを受け、264名の軍人をロシアに占領されている自治体に避難する作戦が実行された。その際、参謀本部は、内211名の軍人は人道回廊を通じて被占領下のオレニウカへと避難させられたとし、彼らの今後のウクライナ政府管理地域への帰還は、(被拘束者)交換手続きを通じて行われると説明していた。