ハートリング元米欧州軍司令官、ウクライナが戦争に勝利し、クリミアを取り戻せる可能性はあると指摘

米欧州軍の司令官を務めたこともあるハートリング米陸軍退役中将は、ウクライナは現在の戦争に勝利することができ、クリミアを含め、現在ロシアが占領している領土を全て取り戻すことは可能だとの見方を示した。

ハートリング氏がオーストリアのヴィーナー・ツァイトンンク紙へのインタビュー時に発言した

記者から、この戦争でウクライナは勝利し得ると思うか、何をもって勝利とみなし得るか、と質問されると、ハートリング氏は、「ええ、ウクライナはこの戦争に勝てる。『何が勝利か』を決めるべきは、もちろんヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領とウクライナの人々だ。しかし、外部者としては、私の勝利の定義は、クリミアを含む全ての被占領地の奪還だろう」と返答した。

同氏はまた、戦争の最も重要な教訓について言及する際、包括的な政治的戦略と戦場の戦術と作戦が良く調整されていることだと指摘した。その際同氏は、「ウクライナはそれを非常によく行っているが、ロシアはできておらず、正にそのために彼ら(ロシア)は多くの分野で失敗を喫しているわけだ」と発言した。

さらに同氏は、「もう1つの教訓は、これは実は新しいものではないのだが、しかし、それは何度となく身に付ける必要があるものだ。それは、最も素早く適応できる軍が勝利する、というものだ。そして、この点でも、ウクライナが優勢である」と指摘した。

その他同氏は、「ロシアにはまだ、自らが達成したいと思っている課題を実行するために不可欠な数の部隊がない」と述べ、またロシア軍の劣悪な準備状況やリーダーシップ文化の欠如も指摘した。

今後数か月の情勢展開につき、同氏は、ロシア軍は多くの動員兵を追加して軍を強化するだろうとの見方を示した。またウクライナ側は、自軍の訓練問題を解決せねばならないし、「同時に、兵士が使い方を知らない多くの新しい武器システムも統合せねばならない」と指摘した。他方で、同氏は、ウクライナ軍は、これまでにその点で自らの能力を証明してきたとも発言した。

同氏は、「私は、私たちは南東部で進攻作戦を目にし、ドンバス地方での領土奪還の戦術的戦闘は少なくなると思っている。しかし、おそらく、主要な努力は、クリミアから来るロシア人のロジスティックルートを切断することを目的とするだろう」と予想した。

また、同氏は、双方にとっての重要な挑戦となるのが「疲れ」だとの見方を示した。同氏は、「私もまた戦闘にいたことがあるが、しかし、現在の前線の兵士が経験しているほどの集中的な戦闘は経験したことがない。バフムート方面では、『ヴァグネル戦力』のとめどない攻撃の波により、信じられない死者数となっている。それは、双方に甚大な影響をもたらしているが、もしかしたら、ウクライナ人にとっての方がそれは少し小さく、異なるものかもしれない。ウクライナ兵は、ほぼ休みなく殺し続けなければならず、死体は前線に文字通り山積みになっている」と指摘した。

写真:army.mil