ウクライナのクリミア奪還の試みはプーチンの激しい反応をもたらす可能性がある=ブリンケン米国務長官

米国のブリンケン国務長官は15日、専門家とのオンライン対話にて、ウクライナがクリミアを奪還しようと試みるとプーチン露大統領にとっては「レッドライン」であり、より激しい反応を引き起こす可能性があると発言したという。

ブリンケン米国務長官が専門家たちとのオンライン対話の際に発言した。米政治ニュースサイト「ポリティコ」が報じた

ブリンケン氏のコメントは、専門家の1人が、米国はウクライナが、ロシア軍に制圧された領土奪還に関する長期的目標を実現するのを支援する準備があるか、と質問した際のものだったという。

その発言が行われた際の状況を知る4名の人物は、ブリンケン氏は米国がウクライナに対してクリミアの奪還を積極的に鼓舞しているわけではないと述べたと伝えている。ブリンケン氏は、米国の主な焦点は主に東部の現在戦闘が生じているところでウクライナの前進を支援することにあると述べたという。

ポリティコは、この評価につき、ウクライナ東部のドンバスや南部で激しく続く戦いについて語る米国防省の高官たちが、ウクライナが近い将来クリミアを奪還する能力については疑問視していることと呼応するものだと指摘している。

その内の2名は、ブリンケン氏のこの発言は米国がクリミアの奪還のための攻勢へ向かうことは現時点では賢明だとは思っていないという印象を与えたとしつつ、他方でそのような言葉をはっきりと言ったわけでもないと伝えた。

同時に他の2名は、ブリンケン氏の発言をそのようには受け止めなかったと述べ、ブリンケン氏が「何を武力で奪還するかは米国が決めるではなく、ウクライナが決めること」と発言したことを指摘した。この発言はむしろ、ブリンケン氏が、ウクライナによる潜在的なクリミア奪還戦に対してよりオープンであることを示唆するものととれるという。

1名は、「(ブリンケン氏の)メッセージは概して、今後どうなるかについては不確定性が大きく、どちらが大きな成功を収める能力があるかについて真の疑問があるということである」と指摘した。

なお、本件について、米国務省はコメントを控えているという。