ウクライナの作家アメリナ氏がロシア軍砲撃で死亡

ウクライナの作家ヴィクトリヤ・アメリナ氏が、6月27日の同国東部クラマトルシクへのロシア軍の砲撃時に受けた負傷により、病院で死亡した。

2日、ウクライナ・ペンクラブが発表した

発表には、「大きな痛みをもって報告する。7月1日、ドニプロ市のメチニコヴァ病院にて、作家ヴィクトリヤ・アメリナ氏の心臓の鼓動が止まった。2023年6月27日にクラマトルシクのレストランへのロシア占領軍のミサイル攻撃によって受けた致死の負傷によって、彼女の命は絶たれた。私たちは、ヴィクトリヤの全ての親族が彼女のことを知り、彼らの同意を受けた上で、この報を今伝えている」と書かれている。

ウクライナの作家であるアメリナ氏は、6月27日、クラマトルシクに、コロンビアの記者や作家とともに滞在していた。夕食を食べていたレストラン「リア・ラウンジ」に対して、ロシア軍のミサイルが着弾。ヴィクトリヤ氏は重傷を負ったという。

ペンクラブは、「クラマトルシクとドニプロの医者や救急隊員は、彼女の命を救うためにあらゆる可能なことを行ってきたが、残念ながら、負傷は致死的なものだった。彼女の人生の最後の数日、彼女の側には親族と友人がいた」と伝えた。

発表には、2022年夏、アメリナ氏は、人権団体「トゥルース・ハウンズ」へと加わり、チームとともに、ウクライナ東部、南部、北部の脱占領地でロシア軍による戦争犯罪を記録していたという。特に、同氏は、ロシア人によって殺された作家ヴォロディーミル・ヴァクレンコ氏の日記の見つかったハルキウ州イジューム方面カピトリウカで活動をしていたという。

同時にアメリナ氏は、自身初のノンフィクション作品『War and Justice Diary: Looking at Women Looking at War』を英語で書き始め、この本は近々国外で出版されるはずだったという。この本にて、アメリナ氏は、戦争犯罪を記録するウクライナの女性たちと、戦時下における彼らの人生について記述していたという。

その他同氏は、ウクライナの立場を諸外国政府に伝える活動も熱心に行っていたとし、武器の供与、犯罪の責任追及、特別法廷の設置などを要求し、またウクライナ人や世界の他の人々にとって共通の反植民地の闘いを訴えていたと書かれている。

ヴィクトリヤ・アメリナ氏は、1986年8月1日のリヴィウ生まれ。2014年に『11月のシンドローム、あるいはHomo Compatiens』という小説でデビュー。小説は、「2014年の文学アクセント」賞の優良散文の10の作品入りを果たした。

アメリナ氏の作品はポーランド語、チェコ語、ドイツ語、オランダ語、英語に訳されており、最近の小説『家のための家』は、スペイン語にも訳された。2021年、アメリナ氏は、ジョゼフ・コンラッド賞の候補者となった。また、同年、ドネツィク州バフムート地区ニュー・ヨルクにて「ニュー・ヨルク文学フェイスティバル」を開始していた。

これに先立ち、6月27日夕方、ロシア軍は2弾のミサイルをクラマトルシク市に向けて発射。1弾が市の中心部の飲食店に着弾。これまで、3名の未成年者を含む12人が死亡したことが判明していた。

その際、アメリナ氏が同行していた、3名のコロンビア国民、著名作家のエクトル・アバド氏、政治家のセルヒオ・ハラミージョ氏、記者のカタリナ・ゴメス氏も負傷していた。

写真:Juan Vega de Soto