ウクライナ政権、ロシアによるザポリッジャ原発での挑発行為を警告
ウクライナのゼレンシキー大統領は4日、ロシアが占拠を続けるウクライナ南部ザポリッジャ原子力発電所の複数原子炉の屋根の部分に爆発物に似たような物が設置されていると報告した。また、同日、ウクライナ軍は、設置されたような物による爆発では原子炉は損傷しないが、他方で、ウクライナ側からの砲撃が行われたかのような映像は作り出すことができるとして、ロシアの偽情報拡散を警告した。
ゼレンシキー大統領は、本件につき同日夜の動画メッセージで伝えた。
ゼレンシキー氏は、「ザポリッジャ原子力発電所の状況について。現在、世界中が共通の安全は同原発にいる占領者の行動へのグローバルな注意に完全に左右されることを認識しなければならない。世界がテロリストの準備しているシナリオを見ていること、世界には対応する準備があることを、ロシアは明確に認識せねばならない。放射線は、世界の皆にとっての脅威であり、原子力発電所はどのような放射線事故からも完全に安全でなければならない」と発言した。
同氏はまた、7月4日は、ロシアがザポリッジャ原発を完全に制圧してからちょうど16か月だと喚起し、また各国は現地で実際に何が起きているか、誰が責任を負っているかについての情報を得るための独自のインテリジェンスやその他の能力を保有していると指摘した。
そして同氏は、「現在、私たちは私たちの情報機関から、ザポリッジャ原子力発電所の複数原子炉の屋根にロシア軍が爆発物に似た物を設置したとの情報を有している。もしかしたら、原発への攻撃に見せかけるためかもしれない。もしかしたら、彼らには別のシナリオがあるかもしれない。しかし、いずれにせよ、ザポリッジャ原子力発電所にとっての唯一の危険の源泉が他の誰でもない、ロシアであることを世界は見ている。見ないわけにはいかないのだ!」と強調した。
さらに同氏は、世界はカホウカ水力発電所へのテロに対して適時対応をしなかったと指摘し、「それがクレムリンをさらなる悪事へと駆り立てる可能性がある。それを止めることは、世界の全ての人の義務だ。誰も放置してはいけない。なぜなら、放射線は誰のことも放置しないからだ」と発言した。
本件につき、ウクライナ軍広報室も同日、フェイスブック・アカウントにて、ロシア軍がザポリッジャ原子力発電所敷地内で挑発行為を準備しているおそれがあると警告した。
発表には、「ウクライナ軍は、2022年3月4日から露テロリストに占領されているザポリッジャ原子力発電所敷地内で近々挑発行為が準備される可能性があることを正式に伝える」と書かれている。
ウクライナ軍は、7月4日、ロシア軍がザポリッジャ原発の第3、第4原子炉の上部外壁の部分に爆発物に似た物質を設置したと伝えた。そして、そのような物の爆発では原子炉は損傷しないが、他方で、ウクライナ側からの砲撃が行われたかのような映像は作り出すことができるとし、正にそれに関する偽情報を現在ロシアの報道機関やテレグラム・チャンネルが拡散していると指摘した。
その上で発表には、「ウクライナ軍は国際人道法規範に違反しないし、状況をフォローし、コントロールしており、どのような条件下でも行動する準備がある。敵のあらゆる挑発行為は看過しない」と強調した。
その他、同日、ウクライナ国防相傘下情報総局所属のユソウ氏は、24局に対して、ロシアが、ウクライナこそが5日未明にザポリッジャ原子力発電所を攻撃するかもしれないという偽情報をソーシャルメディア常に拡散し始めたと報告した。
ユソウ氏は、ロシア・プロパガンダによるザポリッジャ原発情勢に関する新しい情報拡散は「原始的な嘘の情報心理作戦だ」と指摘し、ウクライナがあたかもザポリッジャ原子力発電所の敷地を無人機で攻撃するかもしれないとする情報は、もちろん事実に反すると伝えた。
同時に同氏は、その偽情報にはいくつかの側面があると述べ、その1つはウクライナが世界でザポリッジャ原発やその他の重要インフラ施設におけるロシア侵略軍の犯罪を伝える情報キャンペーンを行っていることに対する、ロシア側の返答だと指摘した。
他方で同氏は、そのような情報キャンペーンや情報心理作戦が本当のテロ行為の準備であり、その行為を情報面で覆い隠すものとして行われている可能性もあると発言した。
そして同氏は、「しかし、現時点では、原発にて何らかの甚大な変化は、私たちは観察していない。その際、強調すべきは、原発が占領者の支配下にあり続けているということだ。原発は違法に占拠され、原発の複数の施設には爆発物が設置されており、確かにリスクが存在するし、テロ国家は情勢のエスカレーションに進み、テロの準備を終える可能性はある。しかし、現時点では、それは核脅迫の温度の上昇、ウクライナ社会におけるパニック拡散やウクライナ防衛者の士気低下を目的とした情報心理作戦の実施である」と強調した。
同時に同氏は、ロシアは確かにザポリッジャ原発で働いていた露「ロスアトム」社職員の一部を確かに同敷地から退去させたと伝えた。