ロシアはウクライナ人捕虜の処刑や拷問を継続=国連報告書

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は26日、ウクライナの人権状況に関する新たな報告書において、ロシアがウクライナ人捕虜への処刑や拷問の実践を続けており、占領地においてはロシア国籍取得、占領国の政治、司法、行政システムを押し付けていると報告した。

OHCHRが2023年12月1日から2024年2月29日の期間におけるウクライナの人権状況に関する報告書を公開した

報告書には、前回の報告時期と比べて、ロシアによるミサイルや弾薬を用いた全面的攻撃が、民間人の間の犠牲者数を著しく増加させたと書かれている。

そのような攻撃の被害が大きな町として、ハルキウが挙げられており、その他、クプヤンシク、アウジーウカ、ヘルソンも指摘されている。

今回の3か月間の報告期間中、民間人の犠牲者数は多いままだとし、紛争に関連した暴力により、429名が死亡、1374名が負傷したという。12月末から1月にかけてのロシア連邦からの著しい烈度の攻撃により、前線から離れた地域での民間人の死傷者数が著しく増えたとある。

報告期間、OHCHRは、最近ロシアの拘束から解放された60人のウクライナ人の元捕虜に聞き取り調査を行ったという。彼らの拘束期間は、数週間から約2年に及んだという。彼らの証言により、それまでに記録されていた、広範な拷問、比人道的扱いが改めて確認されたと書かれている。

報告書には、「ロシア拘束地での度重なる拷問、虐待、隔離、劣悪な環境の累積的影響は、長期にわたる悪影響をもたらす危険性を伴い、多くの捕虜の肉体的、精神的健康に深刻な影響を及ぼした」(報告書3ページ)と書かれている。

OHCHRは、12件の個別のケースで、最近拘束されたウクライナ捕虜が少なくとも32名処刑されたとの報告も得ている。

ロシア政権は、一時的占領地において、ロシアの政治、司法、行政システムの押し付けを続けており、住民に対して、占領国への忠誠を強制、ロシア国籍取得を目的に体系的に圧力をかけており、さらに占領国への忠誠心を示させるために、「愛国」行事への強制的な参加を試みていたという。

OHCHRの今回の第38回報告は、2014年3月のロシアによるクリミアと東部諸地域の占領時からウクライナで活動を開始し国連人権監視団の調査に基づいている。

報告書には、ロシア、ウクライナ、国際社会に対する勧告が掲載されている。