ウクライナ情報総局、4月に露軍バルチック艦隊ミサイル艦を損傷させた特別作戦につき説明

ウクライナ国防省情報総局は3日、今年4月特殊作戦「リバルカ」の際に、ロシアのミサイル艦「セルプホフ」を損壊させた上に、バルチック艦隊とロシアの軍事産業コンプレクスに関する機密情報を得ることができたと発表した。

情報総局のユソウ氏、ロシア軍人投降プロジェクト「行きたい!」のマトヴィエンコ広報担当、ウクライナ側に寝返った元ロシア水兵(コードネーム「ゴガ」)がウクルインフォルムでの記者会見時に伝えた。

ユソウ氏は、「今年4月のはじめ、バルチック艦隊に属し、バルチースク市の基地に位置する小型ミサイル艦『セルプホフ』から煙が上がる事件に関する情報が生じた。私たちは今、それが2023年から続く作戦『リバルカ』の一部であったことを話すことができる」と発言した。

同氏はまた、この作戦により「ウクライナ安全保障・防衛戦力を助ける重要情報を大量に獲得した他、2015年に配備された最新鋭小型ミサイル艦『セルプホフ』が少なくとも半年は使えなくなった」と伝えた。

さらに同氏は、同作戦の実行は、コードネーム「ゴガ」の水兵で、その後ウクライナ側で戦うロシア国民からなる部隊「ロシア自由軍団」に加わった元ロシア軍人が支援したと伝えた。具体的には、2023年、「ゴガ」氏はロシア軍人投降支援プロジェクト「生きたい!」を通じて情報総局と連絡をとり、協力の一環で、ミサイル艦「セルプホフ」を使用不可能とすることに同意、またウクライナ側にバルチック艦隊とロシアの軍事産業コンプレクスの機密情報を渡したという。

その際ユソウ氏は、「敵は、何が私たちの手に渡ったのか、何について私たちが知ったのかを、把握しきれていない」と指摘した。

また同氏は、ミサイル艦「セルプホフ」は、ウクライナ領攻撃にも使われているミサイル「カリブル」と「オニクス」を搭載する艦船だと指摘した。

加えて同氏は、「これは私たちのバルチック艦隊に対する最初の作戦だ。敵にとって、それはショックであり、大きな驚きであった。この作戦の後、バルチック艦隊内部では、配置転換、調査、処罰が行われた。何人かのトップが解任されたことがわかっている」と発言した。

そして同氏は、この作戦は「ロシア自由軍団」がさらなる成功の一歩だとし、ロシア国民がロシア国内でプーチン政権と戦う準備があることを示すものだと指摘した。

同時に同氏は、水兵のゴガ氏を安全に国外へ脱出させることは別の作戦だったと指摘した。現在ゴガ氏はウクライナに滞在し、「ロシア自由軍団」の一員としてウクライナの安全保障戦力とロシアの独裁者プーチン政権との戦いを続ける準備ができていると伝えた。

ゴガ氏本人は、記者会見時、ロシアのバルチック艦隊で11年兵役を務めたと発言した。2022年に全面戦争が始まると、艦内で唯一戦争に反対し、自分の意見を隠したことはなかったと述べた。

そして同氏は、「私は除隊しようとし、軍役はできないと伝えた。私がそれを読んだ時、指揮官はショックを受けていた。指揮官は私をすぐに心理分析に送り、私がロシア政権に反対するので、おかしい人物なのではないかと思ったのだ。彼は、私を心理カウンセラー、精神科医のもとへ送り、私の処遇をどうするかを決めるために、私の報告書を司令部と検察など全ての機関に送った」と伝えた。

その結果、検察が彼に対して行政捜査を開始したのだという。ゴガ氏は、「検察官は私の解任に関する報告を読み上げ、そのようなことはしていはいけない、これは最初で最後の警告だと述べた。それから私を解放した。私に対しては、何の制裁も科されなかった。私はその後も自分の艦で兵役を続けた」と述べた。

その後も彼は、裁判所を通じて除隊を試みたが、除隊は実現せず、2023年、彼は「生きたい」プロジェクトで連絡を取り、ウクライナの情報総局との協力を始めたという。