ロシアはMH17撃墜犠牲者をミサイルと嘘で2回殺した=クレーバ宇外相
ウクライナのクレーバ外相は、2014年7月17日のマレーシア航空MH17便撃墜の犠牲者遺族の苦しみを今も悪用しており、真実を認めること、責任を認めること、謝罪することを拒否していると指摘した。
クレーバ外相が事件10年目に合わせて掲載された香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」へのインタビュー時に発言した。
クレーバ氏は、ロシアのそのような振る舞いは非人間的であるとし、あからさまで体系的かつ恥知らずな嘘をついているとしてロシアを非難した。
また同氏は、「これを述べるのは苦しいが、しかし、ロシアが無辜のMH17犠牲者を2回殺している。最初はミサイルによって。2回目は嘘によってだ。そのため、私は、10年間と今、この夏の日を犠牲者遺族がどのような痛みを抱いてきたか、想像し難い」と述べ、さらに最初からロシアの侵略は、ウクライナとウクライナ国民に対してだけでなく、グローバルな脅威だったのだと強調した。
そして同氏は、ウクライナは当初から公式な捜査チームと完全に協力のために大きな努力を費やしてきたとし、ロシアは何年間もこの悲劇につき嘘をつき、人々の見方を操作し、責任から逃れようとしていたと指摘した。
さらに同氏は、航空機撃墜の有罪判決が下された人物が終身刑が言い渡されたことは、ロシアは決して責任から逃れられないことの証拠だとの見方を示した。
そして同氏は、「法正義は為された。少なくとも部分的には。オランダの裁判所が、真実を立証し、犯人を特定した。しかし、私は、それすらも遺族の痛みを完全に和らげることはできなかったと思っている」と発言した。
なお、マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。
2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。
同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。
2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。
2022年11月17日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて開かれたMH17便撃墜事件裁判にて、4名の被告の内、イーゴリ・ギルキン氏(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校)、セルゲイ・ドゥビンスキー氏(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、レオニード・ハルチェンコ氏(ウクライナ国籍)に対して有罪判決が言い渡されている。