ウクライナ保安庁、昨年11月にケルチ海峡を封鎖した露タンカーをだ捕
ウクライナ保安庁(SBU)は、軍事検察とともに、オデーサ州イズマイルにてロシア連邦のタンカー「NEYMA」をだ捕した。同タンカーは、2018年11月にケルチ海峡でウクライナ海軍の艦船の航行を妨害したものだとのこと。
25日、SBUが発表した。
SBUの発表には、「SBUは、軍事検察と共同で、ケルチ海峡でウクライナの艦船を封鎖したロシアのタンカー『NEYMA』をだ捕した」と書かれている。
SBUは、「裁判前捜査時に、(昨年11月25日)ロシア連邦保安庁(FSB)の上層部の直接命令により、FSB国境警備隊軍人がケルチ海峡にてウクライナの小型艦砲『ニコポリ』、『ベルジャンシク』、タグボート『ヤニ・カプ』を攻撃したことが判明している。ロシア連邦FSB国境警備隊隊員は、国際海洋法の規範に反する形で、違法かつ武器を使用して、ウクライナの艦船がケルチ・エニカリスク海峡を通行する際の航行を、タンカー『KEYMA』 (ІМО 8895528、MMSI 273347000、ロシア連邦籍船)を用いて封鎖していた」と書かれている。
そして、同発表には、7月24日、ウクライナ国境警備隊の情報で、オデーサ州イズマイル港にロシア連邦籍船のタンカー「NIKA SPIRIT」(ІМО 8895528)が寄港したことがわかり、その際、国際情報システム「EQUASIS」にて照合したところ、同タンカーはケルチ海峡の封鎖に使用された「KEYMA」であることが特定されたことが説明されている。
その上で、捜査機関は、タンカー「NEYMA」は2018年11月25日の違法行為関与と攻撃事例を隠蔽するために、ロシアのタンカー所有者により名前を「NIKA SPIRIT」に変更されていたことを判明させたとのこと。
発表には、SBU捜査官、軍事検察、国境警備隊員のグループが、だ捕したタンカーにおいて、船上捜査、文書・衝突時の通信記録・船上記録の押収を終えようとしているところであり、また、船員への事情聴取等を行っていると書かれている。
また、同タンカーは物的証拠として認定され、裁判所に差し押さえ許可を求める準備をしているとのこと。
なお、SBUはまた、昨年11月25日のケルチ海峡のタンカー「NEYMA」による封鎖は、その後のロシアFSBによる武器使用とウクライナ艦船だ捕・船員24名拘束を促進した違法な行動であり、同封鎖事案はSBU捜査官が軍事検察の指揮の下で捜査を行っていることを指摘している。また、SBUは、既に集められた証拠により、ロシア連邦軍の高官15名に対して遠隔で容疑が伝えられていることを伝えた。
SBUは更に、2019年3月19日付ウクライナ大統領令により科された対露制裁の中には、「ユヴァス・トランス」社が含まれているとし、同社は、タンカー「NEYMA」がケルチ海峡を封鎖するまでに、同タンカーが属していた「ケルチ船舶修理工場」の所有企業であると伝えた。