国際人権団体、ハルキウ州の人権侵害報告書公開 「ロシア軍の拷問は政策・計画の一部」
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は19日、ハルキウ州イジューム市のロシア占領政権による約半年間の占領期間の拷問や強姦などの人権侵害状況に関する調査報告を発表し、ロシア軍人の被拘束者に対する拷問は同国の政策・計画の一部であったと報告した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)がウェブサイトに報告書「ウクライナ:ロシア軍によるイジューム被拘束者への拷問」を公開した。
HRWは、冒頭で「ロシア軍人や、彼らの指示で行動するその他の人物は、6か月間のイジューム市占領の際に、被拘束者を日常的に拷問していた」と伝えた。
今回の報告書は、拷問を受けた100人以上の被害者から聞き取り調査をしたものだという。拷問については、電気ショック、金属棒、ゴムホース、その他の物品を使ったものにつき、拷問された場所の写真や拷問の再現図とともに報告されている。1人の男性については、5回拘束され、毎回拷問を受けたことが記されている。
ロシア軍人に拷問を受けた1人の女性は、拘束時に兵士に平手打ちをされたり、腹部を殴られたり、強姦すると脅されたりしたことを伝えている。また、おそらく同じ部屋に別の時期に拘束されていた別の女性が電気ショックを加えられたり、繰り返し強姦されたりしたケースが報告されている。また、同時期に同じ場所に拘束されていた男性が、女性たちの叫び声や、ロシア兵による性的暴力についての話を聞いたとの報告も掲載されている。
拘束を生き延びた者たちは、ロシア兵が人々を拘束し、虐待を行っていた場所を少なくとも7か所(内2か所は学校)を特定したという。
ロシア兵に拘束されていた人々は皆、ロシア兵は彼らから金銭、高価な物品、電気製品、自動車などの物を盗んだと述べたという。
HRWのベルキス・ウィル氏は、「私たちの調査結果が示すことは、ロシア軍は、彼らの占領していた多くの場所でおそろしい虐待を行っていることであり、彼らが支配を続けている他の地域でも類似の虐待が行われているだろうことが本当に懸念される」と発言した。
またウィル氏は、「イジュームでの残酷な暴力、虐待は偶発的な出来事ではなかった」と伝え、「複数の犠牲者が、私たちに、ロシア軍やその協力者が支配する施設における尋問の際の類似の拷問の経験について、信頼できる話を共有した。それが示すことは、そのような扱いは、(ロシア軍の)政策であり計画の一部であったということだ」と強調した。
HRWの同報告書の全文は、以下のリンク先からオンラインで閲覧可能。
Ukraine: Russian Forces Tortured Izium Detainees
なお、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は4月3日にも、ロシア軍が占領していたチェルニヒウ州、ハルキウ州、キーウ州で、民間人に対して行った強姦、裁判なしの殺害、その他暴力・脅迫の事例に関する報告書を発表していた。
写真:検事総局