2023年初頭にMH17撃墜事件の新たな容疑者が発表される可能性あり=捜査班長

2014年のマレーシア航空MH17便撃墜事件の捜査を行っている合同捜査チーム(JIT)の代表を務める、ディフナ・ヴァン・ブツェラー氏は、2023年初頭に新たな容疑者の発表ができる可能性があると発言した。

17日、ブツェラー氏がウクルインフォルムのハーグ特派員にコメントした。

ブツェラー氏は、「捜査は続いている。私たちは、誰が『ブーク』(編集注:MH17を撃墜した地対空ミサイルシステム)の中にいたのか、誰がそのシステムをウクライナ東部に移動させる許可を出したのかを定めねばならない。私たちは、来年はじめにはもう、新たなあり得る容疑者についてのその捜査の結果を発表できることを期待している」と発言した。

その他同氏は、同日のMH17撃墜事件の裁判判決に満足していると伝えた。

これに先立ち、17日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて開かれた2014年7月のウクライナ東部にて撃墜され、乗員・乗客計298名が殺害されたマレーシア航空MH17便撃墜事件裁判にて、4名の被告の内、イーゴリ・ギルキン氏(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校)、セルゲイ・ドゥビンスキー氏(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、レオニード・ハルチェンコ氏(ウクライナ国籍)に対して終身刑と1600万ユーロ以上の支払いを命じる有罪判決が、オレグ・プラートフ氏(ロシア国籍、予備大佐)には無罪判決が言い渡されていた

なお、マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名(イーゴリ・ギルキン(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐)、セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、オレグ・プラートフ(ロシア国籍、予備大佐)、レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ国籍))を公表していた

MH17の公判は、2020年3月に始まった。

2021年9月2日、JITは、撃墜に用いられた地対空ミサイルシステム「ブーク」の搬送元であるロシアの都市クルスクにおける、証拠となる写真、動画、公的文書などの情報提供を呼びかけるメッセージを発表していた。