マレーシア航空MH17撃墜事件から9年 ゼレンシキー宇大統領、追悼メッセージ公開

ウクライナのゼレンシキー大統領は7月17日、2014年のウクライナ東部における298名の民間人が殺害されたマレーシア航空MH17撃墜事件から9年が経過したことを喚起し、追悼メッセージを公開した。

ゼレンシキー大統領がツイッター・アカウントにメッセージを掲載した

ゼレンシキー氏は、「今日、ウクライナはMH17の犠牲者を追悼する。私たちの思いと心は、298人の犠牲者1人1人の家族と愛する者、犠牲者全員とともにある。侵略者によって引き起こされたこの悲劇は、決して忘れられることはない。侵略国、テロ国家は、ウクライナで行った全ての犯罪の責任を完全に追及されることになる」と書き込んだ。

ウクライナ外務省も同日、関連声明を発出した

外務省声明には、「MH17撃墜は、ロシア連邦のウクライナに対する武力侵略の最も凄惨なページの1つであり、侵略国の行動は国際社会全体にとって被害をもたらすということをわからせたものであった」と書かれている。

外務省は、以降、ロシアやこの国際法の著しい違反に責任のある人全員の追及のために協力するよう関係国・関係者に要請した。

さらに外務省は、MH17撃墜事件に関するオランダの裁判が、3名に終身刑を伴う有罪判決を言い渡したことを歓迎した他、国際民間航空機関(ICAO)と欧州人権裁判所が、ロシアによる国際法上の義務の違反に関する事件の審議を行う自らの管轄権を認める決定も歓迎した。

なお、マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

2022年11月17日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて開かれたMH17便撃墜事件裁判にて、4名の被告の内、イーゴリ・ギルキン氏(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校)、セルゲイ・ドゥビンスキー氏(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、レオニード・ハルチェンコ氏(ウクライナ国籍)に対して有罪判決が言い渡されていた