ウクライナの親露元国会議員2名に国家反逆罪容疑伝達

25、26日、ウクライナの保安庁(SBU)と国家捜査局は、イェウヘン・ムラーイェウ元最高会議(国会)議員とヴァディム・ラビノーヴィチ同元議員に国家反逆罪容疑を伝達したと発表した。

SBUは25日、テレグラム・チャンネルにて、「私達党」元党首(現在は活動禁止)のムラーイェウ元最高会議議員に対して、ウクライナに対する破壊活動への関与の容疑を伝えたと発表した

発表には、「SBUは、禁止された政党『私達党』党首で、ウクライナに対する破壊活動に関与しているイェウヘン・ムラーイェウ元国会議員に関する証拠を集めた」と書かれている。

集められた証拠により、SBU捜査官が、ムラーイェウ氏に対して、国家反逆罪容疑(刑法典第111条1項)と平等権侵害(同第161条1項)の容疑を伝達したという。

またSBUは、ムラーイェウ氏は、自身が支配しているテレビ局「私達」をウクライナの情報空間におけるロシアのナラティブの大規模拡散のために利用するなど、自身の所有するメディアリソースをロシアの利益になるようにウクライナ国民の世論を操作するために意図的に利用してきたと伝えた。

とりわけ、ウクライナ国内情勢や国際場裏でのウクライナの印象に関する歪曲した情報の拡散が行われていたという。

これに関連し、国家安全保障国防会議(NSDC)によって、2022年2月初旬に、ムライェウ氏のテレビ局に対して制裁が科されたことが喚起されている。

加えて、SBUが主導で長期間分析が行われたところ、今回ムライェウ氏のウクライナの国家安全保障に対する犯罪行為の事実が最終的に認められたという。

容疑者は、最大15年の禁錮の可能性があるとのこと。

国家捜査局は26日、テレグラム・チャンネルにて、ラビノーヴィチ元最高会議野党生活党会派議員に対して、国家反逆罪容疑を伝達したと伝えた

発表には、「同人物は、EUの国々の住民や政治幹部に対して、反ウクライナ的なプロパガンダ情報を広めていた」と書かれている。また同局は、「ヴァディム・ラビノーヴィチ氏は、自らの演説やインタビューにて、印象操作的発言を行うことで、ウクライナの主権、領土一体性、不可侵性、国家経済、情報安全保障に損害をもたらしてきた」と伝えた。

同局はさらに、ラビノーヴィチ氏のプロパガンダ活動はロシア幹部が軍事・政治目的を達成し、ウクライナに対する破壊活動遂行のイデオロギー面での支援となっていたと指摘した。

ラビノーヴィチ氏には、国家反逆罪容疑(刑法典第111条1項)が伝達されたという。同容疑の伝達は、イスラエルへの国際法的支援の要請を送付する形で行われたという。

刑法典に従えば、同犯罪の罰則は最大15年の禁固刑と資産没収が定められているとのこと。

また、ラビノーヴィチ氏は、国外に潜伏していると書かれている。

なお、2022年1月22日、英外務省は、ロシア政権がウクライナにおいて親露政治家を国家のトップに据える計画を有していると発表していた。その際、英外務省は、「私たちには、ロシア政府がウクライナへの侵攻と占領を行うかどうかを検討しながら、キーウへと親露指導者を就任させることを検討していることを示す情報を有している。イェウヘン・ムラーイェウ元ウクライナ最高会議議員は、その潜在的候補者とみなされている」と伝えていた。

ムラーイェウ氏は、ヤヌコーヴィチ政権時の最高会議地域党会派議員。「私達」という名のテレビや政党を所有していた。2021年12月にレイティング社が発表した世論調査では、大統領選挙の際の投票先に関する設問で、ムラーイェウ氏に投票すると回答したのは、全体の6%(5位)だった

ムライェウ氏は、ロシアの全面侵略が開始した直後の2022年2月25日、フェイスブック・アカウントにて、ウクライナ政権に対して降伏を呼びかけていた。