ウクライナ汚職捜査機関、大富豪コロモイシキー氏に汚職犯罪容疑を伝達
ウクライナの政権高官の汚職犯罪捜査・起訴に特化した国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察(SAP)は7日、「プリヴァト銀行」の元最終受益者と同人物が組織したグループに属する他5名の人物に対して、銀行の資金92億フリヴニャ以上の不正流用に関する容疑を伝達した。
NABU広報室が公表した。
発表には、「捜査の結果、2015年1月から3月にかけて、同行の最終受益者であり、当時ドニプロペトロウシク州行政府長官であった人物(編集注:イーホル・コロモイシキー氏)が、支配下のオフショア企業へのさらなる資金投入と、同行資本の自らのシェアを拡大するために、プリヴァト銀行の資金を不正流用する計画を策定したことが判明した」と書かれている。
NABUによれば、この目的のために、自社債券を不当に高い価格で買い戻すという口実の下、92億フリヴニャ以上を前述支配下企業への支払いをプリヴァト銀行に対して義務付けたのだという。
そして、その後は、一部の4億4600万フリヴニャ以上が、証券売買を装った形で、3つの関連法人の口座に送金され、その後、さらに2つの法人の口座に送金されたという。最終的に、それら資金は、プリヴァト銀行の最終受益者(コロモイシキー氏)の個人口座に移されたと説明されている。
容疑が伝達されたのは、プリヴァト銀行の元最終受益者(編集注:コロモイシキー氏)の他、元取締役会長など銀行幹部5名だという。
容疑は、ウクライナ刑法典の第191条「職権を利用した上での資産の横領、喪失、不正流用」、第209条「利益の合法化(ロンダリング)」、第366条「職務上の偽造」からなるという。
捜査は継続しているとのこと。
NABUは、「これは、『プリヴァト銀行』の資金不正流用事件における4つ目のエピソードである。昨年10月、NABUとSAPは、捜査官が容疑者の有罪を証明するために十分な証拠がそれまでの3つの捜査において集められたとして、捜査資料を開示した。2023年9月6日、起訴状が裁判所に送られた」と伝えた。
なお、2014年3月3日から、2015年3月25日まで、ドニプロペトロウシク州行政府長官を務めていたのは、大富豪(オリガルヒ)のイーホル・コロモイシキー氏である。
これに先立ち、2日、ウクライナ保安庁(SBU)がイーホル・コロモイシキー氏に対して、詐欺により獲得した資産の合法化を行った容疑を伝達したと発表していた。その後、キーウ市シェウチェンキウシキー地区裁判所が2日、コロモイシキー容疑者の未決囚予防措置として、保釈金を設定した上で10月31日までの拘置を決定している。