ウクライナ東部でロシアの最新の電子戦システムが確認

ウクライナ東部ドンバス地方で、ロシア軍が今年になって導入した最新の電子戦システムを含む、複数の新型システムが確認された。

10日、調査サイト「ベリングキャット」が掲載した、DFRLabの分析の中で説明された。

最近、欧州安全保障協力機構(OSCE)特別監視団(SMM)は、ドンバス地方でロシアの電子戦システムを確認したという重要な情報を発表した。その発表には、ロシアの最新電子戦コンプレックスであり、軍事演習「ザーパド2017」で初めて使用し、今年になってロシア軍装備に導入されたRB109-Aブイリーナ(Bylina)が含まれる。

SMMは、8月11日にこの監視結果を発表したのだが、SMMの短距離無人飛行機(UAV)は、ロシアの4つの電子戦システムを7月28日には確認していた。なぜOSCEがこの結果を2週間発表しなかったのかは不明である。

SMMの発表には、「7月28日、SMMのミニUAVは、非政府管理地域で、4つの異なる電子戦システム(レール3(Leer-3)RB-341V, 1L26クラスーハ2(Krasukha-2)、RB-109Aブイリーナ(Bylina)、対UAVシステム・レペレント1(Repellent-1))をチョルヌヒネ(ルハンシク市から北西64キロ地点)で発見した」と書かれている。

7月28日にOSCEのUAVが気づいた4機のロシアの電子戦システムのうち、1つのみ(レール3)が以前にウクライナ東部ドンバス地方で確認されたことのあるもので、それ以外の3つ(クラスーハ2、ブイリーナ、レペレント1)は、ウクライナ東部ではこれまで公式には確認されていなかった。

「レペレント1(Repellent-1)」システムは、2016年に開発されたもので、このシステムは、30~35キロの距離で、UAVに障害をもたらす能力を持つ。基本的には、このシステムは、UAVの大規模攻撃への抵抗を目的とするものである。

記事には、「この超最新電子戦システムをウクライナに配備するというロシアの決定は、明らかに、OSCE/SMMの中立的な監視用UAVや、ウクライナ軍の諜報用や防衛用のUAVに障害を起こさせることを目的としている」と強調されている。

「クラスーハ2(Krasukha-2)」は、「レペレント1」と「ブイリーナ」よりも旧式である。クラスーハ2は、2014年からロシア軍の装備に加えられている。このシステムは、UAV、ロケット、航空機のレーダー等に対し、100キロの距離でジャミング(電波妨害)を行うことができる。

「ブイリーナ(Bylina)」は、OSCEが気づいた中で最も最新型の電子戦システムである。このシステムが初めて発表されたのは2017年のことで、今日まで唯一確認されているのはロシアの軍事演習「ザーパド2017」の時だけである。発表には、このシステムは、優先対象を定め、電子シグナルを妨害する際に「機械的学習にもとづく人工知能能力」を利用することができる(あるいは開発後に利用できるようになる)と報告されている。

OSCEが最近確認したもう一つのシステム「レール3(Leer-3)」は、過去にもドンバス地方で確認されたものである。ロシアの高度技術システムであるレール3は、通信システムに障害を引き起こすことのできるものである。

このシステムは、2016年にもドネツィク市内で写真が撮られており、これについては、OSCEでウクライナ代表が報告をしている。「レール3」システムが利用する無人機オルラン10(Orlan-10)は、ドンバス上空でこれまで何度か撃墜されている。この無人機オルラン10は、サンクトペテルブルクで製造され、ウクライナ軍では使用されていない。

今回の発見は、ロシアが、ウクライナの紛争がUAVで監視されることを防ぐ試みを強化していることを示すものである。また、本件は、ウクライナ領内の紛争にロシア軍が引き続き参加していることのさらなる証拠でもある。

過去4年間、OSCE/SMMは、紛争地帯で、ロシアの電子戦システムを複数確認し、写真におさめてきた。これらのシステムは、ミンスク諸合意の違反を監視するSMMのUAVに対して使われていることがわかっている。このシステムを使い、SMMの監視能力を制限しているのである。

OSCE/SMMは、これまで何度も、非政府管理地域を監視していたSMMのUAVがジャミングの試みにあっていることを報告していた。