「NATOとウクライナの協力は脅威ではない。侵略者はロシアである」=NATO事務総長

ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は、NATOとウクライナの協力がロシアにとっての脅威を生み出さず、侵略者はロシアなのであり、ロシアこそが隣国に対する振る舞いを変え、国際合意の違反を止めなければならないのだと発言した。

16日、ストルテンベルグ氏がゼレンシキー宇大統領との会談後共同記者会見時に発言した。

ストルテンベルグ氏は、「私たちのウクライナとの協力は防衛的なものであり、それはロシアにとって脅威を一切もたらさない。侵略者はロシアである。ロシアがウクライナに対して軍事力を行使し、2014年に同国の一部であるクリミアを併合し、ロシアがウクライナ東部を不安定化し続けているのである。現在、私たちは、ウクライナ国内(編集注:クリミアとドンバス)とその周辺にて、戦闘準備のできた部隊、装甲部隊、戦車、最新機材の伴った(ロシア軍の)強力な軍事的集結を目にしている。それは一切正当化できず、ウクライナの安全、そして欧州の安全を弱体化している。つまり、ロシアこそが自らの振る舞いを変えねばならず、ロシアこそが自らの方針を変えねばならないのだ」と強調した。

さらに同氏は、ロシアの類似の行動は一回限りのことではなく、長年の傾向として見られる点が特に懸念を覚えさせると指摘し、ロシアがジョージアやウクライナといった隣国に侵攻したこと、INF条約のような軍備管理の重要な国際条約に違反したことを喚起し、またロシアこそが欧州に核兵器を搭載できる新しいミサイルを展開したのだと説明した。

同氏は、「私たちは、ロシアに対して、後退するよう、沈静化に向かうよう要請している。私たちは、このような情勢展開を残念に思っており、欧州にて別の道、別の情勢展開を見たいとはっきりと述べた。私たちは、ロシアとの間のより良い関係、中身ある対話を模索し続けていく。私たちは、テーブルにつき、信頼強化の方策、軍備管理、透明性、リスク低減、欧州における事件、不幸な事例やましてや軍事紛争の発生可能性を下げることのできる多くの問題全てについて、議論する準備がある。しかし、私たちは、主要原則である、ウクライナを含む欧州の全ての国家の主権と領土一体性への尊重を巡っては、妥協することは決してない」と強調した。

加えて同氏は、「私たちは、ウクライナの自らの道を選ぶ権利に関して妥協しないし、私たちは、NATOの自らの同盟国全てを守る権利についても妥協しない。また、私たちは、NATOがウクライナとパートナーシップを有すことについても妥協しない。そのようなパートナーシップは、私たちにとっても、主権国家であるウクライナにとっても重要なのだ。30の民主主義国家の同盟であるNATOはウクライナのような近しいパートナー国と緊密に協力する権利を有している」と発言した。

なお、ゼレンシキー大統領は、15、16日、ブリュッセルを訪問し、15日には東方パートナーシップ首脳会談に出席、16日にはNATO本部にてストルテンベルグNATO事務総長と会談を行った。