安全保障の協議は、露によるウクライナからの軍撤退をもって始められるべき=ウクライナ副首相

ウクライナのステファニシナ欧州・欧州大西洋統合担当副首相は10日、欧州の安全保障協議はウクライナ領からのロシア軍撤退をもって始められるべきであるとし、ロシアは侵略国であり、相手に条件を突きつけられる立場にはないとの見方を示した。

ステファニシナ副首相が、ブリュッセルでのストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長との記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ステファニシナ氏は、「私たちは、ロシアの同盟国への要求は、協議上の立場として考慮し得ないものであることを理解しなければならない。ロシアの戦車がウクライナの国境にある限り、侵略国は条件を突きつける立場にはない」と発言した。

同氏はまた、ロシアはミンスク・フォーマット、ノルマンディ・フォーマットでの平和的情勢解決へ向けた行動を一切行わず、脅迫という手段で協議の焦点を変えようとしたり、自分に都合の良い議題を押し付けようとしたりしていると発言した。

その上で同氏は、「安全保障の議論は、ウクライナ領からのロシア軍の撤退から始められるべきだ。ロシアは、現在、実質的には無条件降伏を要求しているのであり、それは民主的国家とNATOの機能の基本的原則を弱体化させている」と発言した。

同時に同氏は、ウクライナが自らの安全保障方策を選択する主権的権利を有しているという事実は、同国にとって最大の原則であり、欧州統合路線はウクライナ憲法に記載されているものだと喚起した。同氏は、「それは協議や交渉の対象にはならない」と強調した。

なお、10日、NATOウクライナ委員会会合が開催された。同時に、9、10日、ジュネーブにて米露代表者が安全保障戦略対話が行われている。その後、12日にNATOロシア理事会会合が、13日には欧州安全保障協力機構(OSCE)常設理事会会合が開催される。

写真:NATO