露武装集団、OSCE監視団の国境地点監視を拒否 「立ち去らなければ逮捕する」と脅迫

東部情勢

ウクライナ東部被占領地のロシア占領軍戦闘員は、監視活動を行っている欧州安全保障協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)による国境地点の監視を認めず、立ち去らなければ逮捕するなどと述べて、監視員を脅迫した。

SMMが発行した緊急報告書(第5/2022)に書かれている

報告書には、「2月11日朝、ドウジャンシケ(ルハンシク市から南東84キロ、非政府管理地域)近くの国境通過地点のパトロールの最中に、SMMチームに武装集団のメンバーが近づき、SMMにどのような課題があるかに関心を示した。この人物はまた、SMMは武装集団内のこの人物の指導者からの事前合意がなければこの地区の訪問は許可されないと発言した。この人物は最終的には、SMMはコンタクト・ライン沿いのみにおいて自らの課題遂行が認められていると結論づけた」と書かれている。

SMMは、この人物に対して、SMMは「自らのパトロール計画について詳細な情報を共有することはできない」と伝えた他、SMMのマンデートは、SMMが責任を追っている領域全体にて無条件の移動の自由を定めていることを説明した。

報告書には、この発言を受けてこの人物が攻撃的に反応し、SMMメンバーに対して、彼の要求を聞いて、すぐにその地区を退去しなければ、逮捕すると脅したとあり、SMMはその場を離れたことが報告されている。

SMMは、メンバーに対する攻撃的振る舞い、受け入れられない脅迫はどのような条件下でも正当化し得ないものだと非難した。

また、SMMは、自らのマンデートにて、無条件の自由な移動が定められていることを喚起した。

なお、OSCE常設理事会の第1117決定により、SMMはウクライナ全土にて安全かつ確実なアクセスを得ることが定められている。SMMは、これまでも武装集団によるSMMの活動が妨害される度に、声明などにより「全ての地域への制限なく無条件なアクセスが、治安状況の効果的な監視と報告やその他のマンデートのある課題の遂行を確保する上で決定的に重要である。マンデートは、SMMに対して、移動の自由はその他のマンデート履行の阻害について全て報告することを課している」と説明している。

写真:SMM