「『ミンスク3』は要らない。永続する平和のための解決策を見つけねばならない」=NATO事務総長

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は5日、終戦協議を行う条件を決めるのはウクライナの主権的権利に属するものであるとしつつ、他方で、ロシアのこれまでの全ての振る舞いは、「ミンスク3」のような合意を結んではならず、永続する平和のための理想的な解決策を見つけなければならないことを示していると発言した。

ストルテンベルグNATO事務総長がブリュッセルでの記者会見時に、ウクルインフォルムの特派員の質問に答える形で発言した。

ストルテンベルグ氏は、「私たちは、ウクライナに対するロシアの攻撃的振る舞いの傾向を見てきた。この戦争は2022年に始まったのではなく、2014年に始まったのだ。彼ら(編集注:ロシア)は、まずクリミアを違法に併合し、その数か月後には東部ドンバスへと侵攻した。そして、『ミンスク1』に合意した。彼らはそれに違反し、さらに西に進み、『ミンスク2』に合意した。それから、数年待ち、さらに多くのものを奪うために、全面攻撃に踏み切った。私たちは、『ミンスク3』を得てはならない」と強調した。

そして同氏は、「今必要なことは、ロシアが自らの侵略を止めるような、確かに戦争を止めることができる理想的な何かだ。そして、戦闘が止まった時には、私たちには安全保障が要る。私たちは、ウクライナ人に抑止のための能力を与えなければならないし、ウクライナのための一定の安全の保証を与えねばならない。そして、それこそが、ウクライナがNATOに加盟することに同盟国が同意した理由である」と発言した。

同時に同氏は、現時点でロシアのプーチンに和平協議を行う準備がある兆候は一切ないとし、停戦の約束のためにはウクライナが現在ロシア軍に違法併合ないしは制圧されている領土だけでなく、現在ウクライナのコントロール下にある領土も譲渡せねばならないとする、クレムリンの最新の提案のことを喚起した。さらに同氏は、プーチンはウクライナが自らの道を定めて、NATOに加盟する権利を断念することも要求し続けていると指摘した。

そして同氏は、「言うまでもなく、和平協議、あらゆる協議上の決定のために受け入れられる条件は、ウクライナが決めることだ。なぜなら、ウクライナは主権国家だからだ。NATO同盟国としての私たちがしなければならないことは、ウクライナを支援すること、ウクライナの手を強化することだ。なぜなら、協議のテーブルで起きることと、戦場の状況の間には直接的な結びつきがあるからだ。よって、あなた方が協議手段を通じて解決策に達成したいのであれば、あなた方がはウクライナのためのより多くの軍事支援を提供せねばならない。それが、同盟国が現在行っていることである」と発言した。

加えて同氏は、来週の首脳会議の際にNATOはウクライナ関連の新たなNATO司令部創設、新たな財政面のコミットメント、新たな軍事支援発表、ウクライナと加盟国の間の安全保障協定締結、ウクライナ軍とNATO軍の間の相互運用性のさらなる深化からなる新たなウクライナ支援パッケージを採択するだろうとの確信を示した。

その上で同氏は、「それはウクライナへの私たちのコミットメントを強力に示すものとなる。私は、防空分野をはじめとする軍事支援の新しい発表や、NATOの新たな司令部と財政的コミットメントに期待している。それは、首脳会議前よりもはるかに強力な支援パッケージとなるだろう」と伝えた。

なお、7月9〜11日、ワシントンにて第75回NATO首脳会議が開催される。

写真:NATO