クレムリンはウクライナに長射程武器での攻撃が許可されることを恐れている=戦争研究所

米国の戦争研究所(ISW)は、ロシアはロシア領内の軍事目標の攻撃のために長射程武器を使用することをウクライナに許可することに関する西側諸国の議論に影響を及ぼすために甚大な努力を費やしているとしつつ、それがそのような攻撃がロシアのウクライナ領内での攻勢作戦に悪影響を及ぼすことを深く懸念していることを示していると指摘した。

ISWが9月27日付報告で伝えた

報告には、たとえ少数であってもウクライナの長射程攻撃が成功すれば、それは非対称的な影響を及ぼし、ロシア軍に西側が提供した武器の射程の外に弾薬庫を移動させるようになる可能性があるとし、それはウクライナへ近い地点でロシアの兵站を困難にすると指摘されている。

例として、ISWは、2022年夏のウクライナ軍による高機動ロケットシステム「ハイマース」による被占領下ウクライナ領への攻撃によって、ロシア軍に弾薬庫を分散させ、ロシアの兵站効率を悪化させたことを喚起した。

そして、「ロシア政権はおそらく、前線から弾薬庫やその他の重要な施設を遠ざけることで、ロシアのウクライナ領内での攻勢作戦にどのような影響を与えるかを懸念しており、西側がウクライナに許可を出さないように甚大な努力を費やしているように見える」と指摘されている。

同時にISWは、ウクライナに長射程武器仕様の許可を与えることのメリットは、現在西側の政策立案者が考えているよりも、ロシアによる報復リスクを上回る可能性があると主張している。

その他報告には、「クレムリンは、西側武器仕様の議論が始まるよりずっと前から西側諸国に対して秘密作戦を遂行しており、クレムリンは、西側の決定如何にかかわらず、その作戦を活発化させるつもりかもしれない。なぜなら、それら作戦は、欧州諸国を不安定化させ、NATOの軍事準備を弱体化させるというクレムリンの他の目的を支持するものであるからだ」と書かれている。