米国の新たな対露制裁により、中印は別の石油供給源を探す必要あり=ロイター

米国がロシアの石油生産業者と船舶に対する制裁を発動したことにより、中国とインドの石油精製業者は中東、アフリカ、アメリカからの石油調達を模索していくことになる。

ロイター通信が貿易業者や専門家の発言を元に報じた

米国財務省は10日、ロシアの石油生産者である「ガスプロム・ネフチ」と「スルグトネフテガス」、並びにロシアの石油を他国に輸送した183隻の船舶に制裁を科した。これはロシアが対ウクライナ戦争のための資金調達に使用される収入を対象とした制裁である。

制裁対象となった多くのタンカーは、ロシアがインドと中国に石油を運ぶために利用してきたもの。なぜなら、西側諸国の制裁とG7が2022年に導入した価格制限により、ロシアの石油の輸出先が欧州からアジアへと移ったからである。

いくつかのタンカーは石油を、同じく制裁対象のイランから運んでいた。

関係者は、今回の新しい制裁により中国の独立した石油精製業者が石油製品の精製をさらに削減せざるを得なくなるため、ロシアの石油輸出は深刻な打撃を受けると指摘している。

米国の制裁対象となった船舶の内、143隻は昨年5億3000万バレル以上のロシア産原油を取り扱ったタンカーであり、これは同国の原油の海洋輸出全体の約42%を占めている。

その内約3億バレルが中国へと運ばれ、残りの大半はインドへと運ばれていたもの。

シンガポールの貿易業者は、制裁対象となったタンカーは過去12か月間毎日約90万バレルの石油を中国に輸送していたと指摘している。

昨年の11か月間で、ロシアのインドへの原油輸入量は2023年同期比で4.3%増の1日あたり176万4000バレルで、これはインドの総輸入量の36%を占めていたという。

中国のパイプライン供給を含む輸入量は、同期間に2%増の1日あたり215万9000バレルで、これは総輸入量の20%だったという。

写真:ブルームバーグ