ゼレンシキー候補、イタリアにて所有の別荘の資産申告「漏れ」=報道

TVタレントで大統領選に出馬するヴォロディーミル・ゼレンシキー候補は、イタリアのトスカーナ州のリゾート地フォルテ・デイ・マルミの海岸沿いに、15部屋ある別荘を所有していることが報じられた。しかし、同候補は、自身の資産申告にこの別荘を申告していない。また同地は、多くのロシアの富豪が休暇時に集まることで知られる。

28日、調査報道を行うメディア「捜査インフォ」が報じた。

報道には、「2017年分資産申告には、ゼレンシキー氏はキーウ(キエフ)にアパートを4つ、郊外に建物を1つ、ヤルタとイギリスにアパートを1つずつ持っていると記載されている。彼は、そのどれも、完全にあるいは部分的に、賃貸に出している。しかし、彼が妻オレーナさんと共同で所有している、イタリアの海岸の15部屋の別荘については、資産申告に記載されていない」と書かれている。

捜査インフォが取得した文書によれば、2017年、ゼレンシキー候補が所有するイタリアの企業「San Tommaso S.R.L.」社がトスカーナ州のフォルテ・デイ・マルミにある同別荘を380万ユーロで獲得。別荘は、海岸から600メートル離れたところ、徒歩8分の位置だとのこと。

報道では、記者は、ゼレンシキー氏がこの別荘を訪れているかどうかは不明だとしつつ、「彼のインスタグラムのアカウントでは、2017年8月9日付のどこか不明のイタリアの町での写真が1枚見つかっただけだ。その時点で、ゼレンシキー一家は、すでにフォルテ・デイ・マルミの別荘を購入していたと見られる。写真の背景の、細い通りの奥には、海が写っている。しかし、それがどの町なのかを判別するのは不可能だ」と書いている。

同報道では、フォルテ・デイ・マルミはイタリアでは現在ロシアの富豪の間で人気の町だと知られているとし、「10年前に、ロシアの富豪の間でこの町で不動産を買うことが流行ったとき、ロシアのメディアはこの町を『モスクワ州だ』と呼んでいた」と指摘する。記事では、その町につき「そこでは、大富豪のオレグ・デリパスカが世界チャンピオンのイェフゲニー・カフェリニコフを子どものためのテニスの先生として雇っているし、サッカー・クラブ『チェルシー』の所有者であるロシアの富豪ロマン・アブラモヴィチがヨットを楽しんでいるし、ロシア・ナンバーのロールスロイスやベントレーが走り回っているのである」と描写されている。

また、同記事では、この町でのロシアの富豪の賄賂に関する話題もあると指摘し、2018年にはロシアの野党政治家であるアレクセイ・ナバリヌイが、ロシアの富豪ミハイル・プロホロフがフォルテ・デイ・マルミの別荘を同国副首相のアレクサンドル・フロポニンから3500万ユーロで購入したとの情報を公開し、それが市場価格よりも極端に高いことからただの契約ではなく、賄賂の疑惑があると指摘したことを喚起した。

捜査インフォは、この町には、イタリアの元首相であるベルルスコーニ氏も別荘を持っており、ロシアのアブラモヴィチ氏の別荘の近くだと指摘した。

記事の最後には、「捜査インフォは、ゼレンシキー氏に対して、どうしてその不動産が大統領候補者の資産申告に含まれていなかったのか」、またどうして「モスクワ州」と呼ばれるこの町を選んだのか、と尋ねたところ、ゼレンシキー候補の広報室からは、「候補者の資産申告は、ウクライナ国内法に完全にのっとって記載されている」とのみ回答があったと伝えられている。