角茂樹駐ウクライナ日本国特命全権大使

日本の対露制裁の継続は、クリミアとドンバスだけの問題ではなく、原則の問題

2014年、マイダン革命後にキーウへ来られた角大使は、過去4年間の宇日関係の著しい発展の象徴的存在であり、日本の対ウクライナ支援や「ウクライナにおける日本年」の顔であった。この4年間、ウクライナでは実に多くの出来事があった。ロシアによるクリミア占領、ドンバス侵略が始まって以降、日本は、アジアで唯一対露制裁を科した国となり、その制裁は今日まで続いている。日本の対ウクライナ支援額は、他国に比べて圧倒的に多い。

他方で、欧米諸国と異なり、その後も日本はロシアとの友好関係を強調し続けている。安倍首相は、G7各国首脳の中でプーチン大統領と最も頻繁に会談を行なっているのではないだろうか。北方領土返還交渉という理由は、理解できるが、他方で、その日露の「友好」が強調される度に、それはウクライナにいくつかの疑問を抱かせる。いつまで日本はウクライナを支持し続けるのか。日本は、なぜ友好国と呼ぶロシアに制裁を科すのか。ウクライナが、ロシアを占領国・侵略国と定義している中、では、日本政府は、現在のウクライナ情勢をどのように見ているのであろうか。占領か、侵略か、介入か、違法併合か。そして、日本・ウクライナの間には、どのような発展の展望と課題があるのか。日本の企業はウクライナへの投資の展望をどう見ているのか。ウクルインフォルムが間もなく離任される角大使にたずねた。

ウクライナ問題と日本の原則

12月5日に、次のウクライナ大使の人事が発表されました。また、同日市内で開催された大使館主催レセプションでは、大使は在任期間を振り返ったあいさつをなさいました。大使が、2014年から2018年までの約4年間の在任期間を振り返る中で、日本・ウクライナ関係において、重要かつ印象的だと思われていることをお聞かせください。

2014〜2018年の4年間は、日本とウクライナの関係において、大きな事がたくさんありました。まず、2014年には、マイダン革命(尊厳の革命)が起こり、ポロシェンコ大統領が大統領に選ばれましたが、しかし、ロシアによるクリミア の「併合」、ドンバスの紛争も起こったわけです。これに対し、日本は、ロシアに制裁を科すとともに、18.6億ドルという対ウクライナ支援を開始しました。これが日本とウクライナの現在の関係の基礎になっていると思います。

その後、2015年に安倍総理が日本の総理として初めてウクライナを訪問し、2016年にポロシェンコ大統領の訪日が行われました。そして、これらの相互訪問をふまえ、2017年には「ウクライナにおける日本年」が開催されました。

もう一つ私として非常に重要だと思うのは、ウクライナにおいて「G7大使サポート・グループ」が作られたことです。この「サポート・グループ」は、ウクライナの改革努力を助ける上で大変な推進力になっており、日本もその一角を担っています。

この4、5年というのは日本ウクライナ関係が非常に大きく発展した時期だと思います。政治、防衛・安全保障、経済、人文と、詳しい話を聞きたいと思っています。まず、大使が政治分野の二国間関係の発展をどのように評価されているか、お聞かせください。

政治面は、これはやはり日本がまずロシアのクリミア「併合」等に対して、毅然とした態度を取ったということが、日ウクライナ関係を極めて強化したと思います。アジアにおいてこのような毅然とした態度をとったのは、日本だけです。その結果、両国首脳の相互訪問が実現し、これにより両国の関係は政治面でも非常に強化されたと思います。

日本政府は他のアジアの国と違い、ドンバス地方被占領地域における「DPR/LPR」の選挙を認めないという声明を出しています。また、日本は国連総会のクリミア決議にも2016年から共同提案国となり賛成し続けていますし(編集注:12月17日の国連総会における「クリミア軍事化」決議も日本は賛成した)、2016年のクリミアでのロシア下院選挙も認めないと発表しています。日本は、ドンバスとクリミアをどのように定義しているか、法的地位をどのように見ているのでしょうか。

まず、ロシアが発表したクリミアの「併合」を、日本は認めておりませんし、今後とも認められないという立場です。だからこそ、このクリミア問題が解決しない限り、クリミア不承認に関連した対ロシア制裁は続けていく、というのが日本の方針です。これは、力によって物事を変更するのは決して認められないという、日本の外交の原則に基づいたものです。したがって、力による現状変更は認められないという観点で、ロシアのクリミア「併合」は違法な状況が続く限り、日本はこの制裁を継続いたします。

実は、これは日本にも大きな関係があることなんです。日本の周辺を見れば、東シナ海等の地域で、力でもって現状を変更するという試みが見られるわけです。日本は、これにもちろん反対しております。これらのこと(編集注:クリミア「併合」と東シナ海等の出来事)は離れているように見えて、繋がっていることです。

次にドンバスですけども、同地はいわゆる武装勢力によって占領が続いているというのが日本の立場です。したがって、この占領が続いている状況は、日本として認めていないわけですから、先般行なわれたいわゆる「選挙」なるものは認められないというのが、日本の立場であり、それを公にしているところです。

大使は今、日本政府の立場として、2014年のロシアのクリミアに対して行った行動は違法な併合、ドンバスに関しては武装集団による占領とおっしゃいました。そして、それを踏まえた上で、日本は、原則に基づいて、ロシアに対する制裁を科し続けています。

同時に、日本は、その間もロシアとの友好関係を強調し続けています。その中で、ウクライナにとっては、日露関係が進展し、北方領土問題にも大きな進展がある場合に、日本のロシアに対する制裁が緩和されたり解除されたりする危険、それはウクライナにとっては危険だと思うんですが、そのような危険があるのかという点が重要となりますし、関心が持たれています。日本政府にとって、これらの別々の要素が繋がる可能性があるのか、ないのか、あるのであればどのようにあるか、政府の立場をお聞かせいただければと思います。

ロシアがウクライナに対して色々なことを行っていること、クリミア問題やドンバス問題と、北方領土の返還交渉は、分けられるべきであるというのが、日本の立場です。北方領土を解決するということは、日本が戦後ずっと続けてきたことですから、そのためには確かにロシアとの友好関係というのは、必要とされるでしょう。ただし、友好関係があるからといって、相手が悪いことをすれば、それに対して、目を瞑ったり、何も言わないということではないと思います。いくら友人であってもその友人が悪いことをすれば、それに対して「おかしい」ということを言うし、それを悔い改めないのであれば、悔い改めることに必要なある程度のことをする、ということもわかると思います。もちろん、日本は、ロシアに制裁のための制裁を科しているわけではありません。逆に、ロシアがクリミアをウクライナに返し、そして、ドンバスの問題の解決のためにミンスク合意を遵守し、積極的な立場で解決すれば、いつでも制裁は終わらせるわけです。このことは、ロシアに対してもきちんと話していることです。

11月25日、ケルチ海峡近海において、ロシアのウクライナ艦船に対する攻撃、艦船だ捕と船員拘束が起きて、ウクライナでは大きな事件と受け止められ、戒厳令発令に至る決定を下しました。この出来事に関して、日本はどのような立場をとっていますか。

まず日本は、G7の一か国として、G7外相声明を出しております。この外相声明においては、まずケルチ海峡で起こったことについて大きな懸念を表明するとともに、関係者がこの解決に努力すること、またロシアに対して、だ捕された艦船、24名の乗組員の解放を即刻行うことを呼びかけています。それから、最後にもう一度G7として、ロシアはクリミアはロシアの領土でありクリミアの領海に入った・入らないといった議論を展開していますが、G7としてクリミアがロシアに「併合」されたということは違法であり、決して認められないということをきちんと言っています。

先日、安倍総理とプーチン・ロシア大統領の会談がありましたが、発表の中にも本件に関するコメントがありました。内容は声明と同様ですか。

この間のプーチン大統領と安倍総理の会談では、安倍総理からこの問題を取り上げ、まず第一歩として船員と艦船の解放をプーチン大統領に訴えております。

引き続き、アゾフ海・ケルチ海峡問題です。先日、アゾフ海・ケルチ海峡問題を扱う国連安保理会合が開かれました。その時、中国が議長国だったんですが、同国はウクライナの方が先に提案を提出していたにも関わらず、ロシアの利益を考慮したかのように、ロシアの提案を議題の最初に据えました。ウクライナは、日本は国際機関でこのような行動を取ることはないと、考えていて良いでしょうか。

まず、日本の立場は、繰り返しているように、クリミアを「併合」するというロシアの決定は違法であり、受け入れられるものではない、というものです。日本は、この立場に基づいて、全ての行動をとっています。

そして、もう一つ日本にとって重要なのは、航行の自由の問題です。これは日本とも非常に大きな関係があります。東シナ海、その他、日本の周辺における航行の自由というものを日本はかねてから訴えており、また重要視しておりますから、同じようにケルチ海峡、アゾフ海、黒海における国際法にもとづいた航行の自由というものは、決して阻害されてはいけない、というのが日本の立場です。ですから、日本がこの問題について何らかの行動を発表を行う場合は、今の話のように、原則にもとづいて行われるということになります。

投資、安全保障、そして、今後の二国関係の展望と課題

経済の話をお聞きしたいと思います。日本の企業はウクライナにどのくらい投資に関心をもっているのでしょうか。日本からの投資は、ウクライナ社会への強力なサポートになると思います。

経済面ですが、ウクライナは大変に困難な時期を迎えましたけれども、幸いなことに、日本からウクライナへの投資は増えています。これは、ウクライナの持つ非常に良質な労働力を比較的安い賃金で雇えることが理由です。もう一つは、ウクライナがEUとの連合協定を結んだことで始まった自由貿易圏によって、ウクライナで生産された製品が関税なしでEUに輸出できるということが大きな利点になっています。

そのため、日本から、自動車の部品、ワイヤーハーネスを作る企業がウクライナに進出しています。この分野では、これまでも矢崎がウクライナに進出していましたが、その矢崎に引き続き、2014年以降、フジクラ、住友電工が進出してきています。また、住友が当地の農業機械の会社を取得したり、日本企業による農業ビジネスに対して直接投資をしたりと、むしろ、日本からの投資は非常に増加したと思います。また、日本側は経団連、ウクライナ側は経済発展省をトップとする「日本・ウクライナ合同経済会議」が開かれ、日本から経団連ウクライナ部会長である朝田丸紅会長をはじめ日本の経済界の重鎮がウクライナを訪れ、ポロシェンコ大統領、フロイスマン首相等と会談したことも、両国の経済協力の発展につながったと思います。

このような状況の中で、日本企業がウクライナに求めているのは、今ある利点を維持して欲しいということであり、この点をウクライナには引き続き努力をして欲しいと思います。具体的に言いますと、例えば、ウクライナで生産された物がEUに輸出される際、時によっては、ウクライナとEUの国境において検査の時間が多くかかったり、好ましからぬ出来事が起こったりしていると聞いています。それはぜひ解決して欲しいと思いますし、そうでなければ、ウクライナからEUに物がうまく輸出できないということになります。

また、投資に関して、許可を得たり、物事を進めるにあたって、色々な規制がありますから、そういう規制を撤廃して、より速やかに投資ができるようにすることが重要です。ただし、これも最近の非中央集権化、地方分権化によってかなり改善されていると思っています。

防衛・安全保障面の二国間関係はいかがでしょうか。

防衛・安全保障は、本年初めて日本とウクライナの防衛当局間で、防衛と安全保障に関する覚書に署名されました。そして、初めて、日本とウクライナとの間で安全保障対話が開かれました。これは、両国関係が経済・政治面に加えて、安全保障の面でも協力関係に入ったことを示します。両国は、非常に深い、また強い、協力関係に入ったと思います。

今後の日本とウクライナの関係についての展望と課題を聞かせていただきたいと思います。

両国関係は、色々な面において、単に友好国であるという段階からパートナー国のレベルにまで発展してきたと思います。この関係が今後とも発展することを期待しています。

日本とウクライナは、地理的には非常に離れています。今まで、日本にとってウクライナというのは、旧ソ連の一構成国と見られていましたし、ウクライナにおける日本のイメージというのは、アジアの経済大国、また、柔道やお茶、歌舞伎等の国という、いわば、少し離れたところから見た関係だったと思います。しかし、今後は、単にお互いに離れたところから見るだけではなくて、双方にとって極めて重要な、なくてはならない国になると、そういう認識を踏まえた関係になることが重要だと思います。そのためには、今後とも日本は、原則に基づいてウクライナ問題の解決に努力すること、また、困難に直面しているウクライナを引き続き支援していくことが重要です。

ウクライナに関しては、日本がこれだけウクライナに色々支援しているわけですから、日本が強く望むことについてもウクライナが応えてくれること、具体的には、国際場裏において、日本が行う種々の提案に対して、ウクライナから支援があることが重要だと思います。

G7大使サポート・グループ:大使達はどのように意見を調整しているのか

ウクライナで活動する「G7大使サポート・グループ」は、声明も頻繁に出していますし、当地では知名度があり、改革決定プロセスに対する影響力も大きいのですが、一方で、大使グループが普段どのような活動をしているのかは、外から見ていてもわかりません。G7大使サポート・グループは、普段はどのような活動をし、大使達はどの程度頻繁にコンタクトを取り、どう意見を調整しているのでしょうか。

「G7大使ウクライナ・サポート・グループ」は、2015年6月ドイツにおけるエルマウ・サミットにおいて、G7の首脳たちの合意によって作られたもので、その目的は、ウクライナの改革努力を支援することです。現在、G7全ての大使が定期会合として月に2回ほど集まって議論を行なっており、その他にも必要に応じて不定期に集まって議論を行なっています。議論の内容は、ウクライナが行なっている色々な改革の中で、国際社会の支援が必要だと思われる分野に、どのような支援ができるか、ということを議論しています。例えば、皆さんの目に触れるのは、その結果としてG7大使が出す声明となりますが、それだけでなくG7大使が皆で改革関係者に会いに行ったり、その関係者と議論をしたりしています。

例えば、最高裁判所裁判官の選出過程において、選出委員会の委員を選ぶ段階で、なかなか国内で意見がまとまらないことがありました。その際、G7大使は、その関係者を呼んで実情を把握するとともに、どうしたらより早く選出できるかというアドバイスを行いました。その時の選出がなかなか進まない理由には、選出の条件が適当でなかったこともありましたし、条件が難しいというのもありました。そのような時、G7大使は、それぞれの国の経験にもとづいて、こうしたらいいああしたらいいと説明します。

また大きな改革が進んだ場合には、その改革を評価する声明をG7として発表することによって、改革が逆戻りしないようにしています。また、大統領、首相、各関係大臣とも定期的に集まっております。例えば大統領に関しては、少なくとも年4回はG7大使と大統領との会談が開かれ、双方が重要と思われる事項につき、忌憚のない意見交換が行われています。

G7大使といっても、それぞれの国の立場もありますし、意見が一致しない場合もあると思うのですが、そういう場合の調整はどうしているのでしょうか。

幸いなことに、G7のメンバー国は、すべて民主主義それから自由経済、また人権重視を基盤としている国ですから、大きな意見の相違はないんですよ。ただ、もちろん、どういう形で発表するかについては、各国で色々な細かい違いはあります。もう少し具体的にいうと、ある物事が起こった時、ある国は声明を出すのが一番良いと考えるし、その他の国は声明を出すよりむしろ当事者と話し合う、つまり静かな外交の方が良いと思うわけです。そういう意見の違いはありますけれど、大体そういう場合は、ではまず当事者と会って静かな外交をして、それでも声明が必要であれば出そうという風になります。

私の今までの経験では、そういう細かな調整が必要とされたことは何回もありますけれど、根本的に、例えば、ある国がこの改革を必要とする、しかし別の国はそれを必要としない、というような、全く逆方向を向いたことは一度もありません。

草の根・人間の安全保障無償資金協力とNHKのウクライナ公共放送支援

人文分野の話をお聞かせください。2017年は、日本年が行われました。ウクライナ人にとって、多くの日本の文化が知られることになる貴重な年だったと思います。今後は、どのような行事が計画・予定されているのでしょうか。

昨年「ウクライナにおける日本年」が開催されたことには、大きな意味があると思います。1800本の桜の木がウクライナ中に植えられました。また、日本に関する大規模展示会が開かれました。日本の林英哲という和太鼓奏者が演奏会を開く等、多くの日本の芸術家がウクライナを訪れました。これらは全て、ウクライナにおける日本の理解を深める上で役に立ったと思います。

また、日本は2014年以降、ウクライナに対し大きな支援を行なっています。この中には、大きなプロジェクト、例えばボルトニッチの下水処理場といったものもありますが、苦しみ、困っている国民を直に助けるプロジェクトもあります。具体的に言えば、学校を直し、子供たちが教育を受けられるようしたり、また、病院に対して機材を提供したり、病院の環境をよくして、ウクライナの人々が健康な生活を送れるようにしたり、またコミュニティセンターを直すことによって、そこで国内避難民達と地元の人たちの友好関係を促進できるようにしています。実は、こういうプロジェクトは、ウクライナを支援する国の中で日本が最も多く実現しています。私も日本ができるだけ行なったプロジェクトを訪問して、子供達や患者さん達と接していますけれども、日本は非常に感謝されており、これはウクライナにおける日本のイメージ向上に非常に役立っていると思います。こういう目立たないけれど本当に人々が喜ぶじかに人がよくなったと感じることを日本はたくさんしています。日本は、これを「草の根・人間の安全保障無償資金協力」と呼んでいます。今後とも日本は、こういうプロジェクトを続けていきます。

また、せっかく、「日本年」で、日本のことが色々知られるようになったわけですから、今後もこのような文化行事は続けていきたいと思います。もうちょっと具体的にいうと、今「スクール・ビジット」というものを始めていまして、これは大使館の館員がウクライナの色々な学校に行って、そこで日本の紹介を行い、未来を担う子供達に日本のことを知ってもらうというものです。これは今年立ち上げたプロジェクトです。その他、日本は、首都のキーウ(キエフ)や、リヴィウ、オデッサだけでなくて、中小の街において、日本の文化紹介をやっていくということを考えています。今現在、案を練っているところです。

大使は、小さい町でも日本の文化を感じられるようにとおっしゃいましたが、地方というと、テレビ放送も有効だと思います。日本政府は、ウクライナの公共放送局にも支援していますが、現在この支援はどうなっていますか。

日本には、NHKという非常によい公共放送があります。現在、NHKの関係者がJICAの技術協力によりウクライナの公共放送(UA:PBC)を支援しているところです。具体的には、いくつかありますが、まずは、ウクライナにおいて災害などが起きた時、どのように情報を集めるかということを助言しています。ウクライナでは、それぞれの地域が分割されていて、それぞれに情報が寄せられますが、これまでそれらを統合する組織がなかったことから、どうやってそれぞれが集めた情報を統一してフィードバックするか、ということが課題となっています。これにつき、NHKの関係者が、地方と中央のUA:PBCの関係者を集めて、セミナーを開いたりしています。

その他、日本には非常によい教育テレビ番組があり、その経験をもとに、ウクライナに「ドドリキ(Додолики)」という教育番組が作られました。これは、日本の非常に優れた人形劇をもとにウクライナの関係者が作ったもので、12話あります。既に何回も再放送されており、非常に楽しく、また子供達が社会で暮らしていくための必要とされることを学べるということで、人気が出ていると承知しています。これも、是非みなさんに見ていただきたいと思います。

それからもう一つは、ウクライナのUA:PBCの機材が非常に古くなっていますので、その機材を新しくするという計画があります。これは非常に総合的なもので、録音の機材から始まり、種々の機材を供与します。来年の春には供与されると思います。

最後の質問です。大使の任期は、あと1カ月ぐらいですね。大使は、職を離れられて、日本に戻られると理解しております。戻られてからの今後のご予定は既にございますか。

わたくしも実は外務省には、もう43年以上務め、日本に帰り、退官する予定です。何をするかについては決まっておりませんが、いずれにしても今後とも日本とウクライナの関係強化については、できることはしたいと思っております。

平野高志、キーウ

写真:ダニール・シャムキン