国際政治ダイジェスト:ウクライナ改革会議、中国との危ない火遊び、モルドバ議会選挙

7月11日、モルドバでは、繰り上げ議会選挙が行われ、マイア・サンドゥ大統領創設の政党が大きな勝利を収めた。

執筆:イェウヘン・マフダ(国際政治研究所)

アントニー・ブリンケン米国務長官は、ビルニュスで開催された第4回ウクライナ改革会議へ建設的なコメントを提供した。一方、ウクライナ与党「人民奉仕者党」は、中国との危険な火遊びを始めている。

写真:大統領府

昨年、COVID-19にて延期となっていた、「ウクライナ改革会議」が、ビルニュスで開催された。主宰したリトアニア(なお、ウクライナ・リトアニア関係は引き続き模範的に肯定的である)は、ウクライナの変革に関心のあるゲストたちをビルニュスへ招待した。ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領はいくつかの楽観的な発言を行ない、デニス・シュミハリ首相は今後5〜10年でウクライナは、北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟すると明言した。しかしながら、最も建設的であったのは、アントニー・ブリンケン米国務長官であった。ブリンケン氏は、ウクライナにとって不可欠な改革に注意を向けただけではなく(それはゼレンシキー氏の訪米までにウクライナが実施しなければいけない改革のように見えた)、同時にウクライナのGDPの3分の1が汚職によって失われているとも指摘したのだ。

ビルニュスではまた、ルブリン・トライアングル(編集注:ウクライナ、ポーランド、リトアニア3国の協力フォーマット)の参加者が共通の歴史遺産と発展展望に関する宣言に署名した。同宣言には、ウクライナのNATOとEUへの加盟支持が記載されている。また、リトアニア、ポーランド、ウクライナは、外相レベルで、プロジェクト発展ロードマップと偽情報対策行動計画を採択した。

ダヴィド・アラハミヤ最高会議議員

一方で、ヴォロディーミル・ゼレンシキー氏とその仲間たちは、米国を相手に追いかけっこをして遊ぶことを決めたように見える。ダヴィド・アラハミヤ最高会議与党「人民奉仕者党」会派長が中国共産党へ向けて送った称賛の嵐も、ゼレンシキー大統領の訪米直前にウクライナ・インフラ省と中国商務部の間で締結された合意も、合理的に説明するのは困難である。合意の条件は不明であるが、中国はすでに第三国で自らにとって有利な資金提供をしては犬を食べてきたのであり、ウクライナもヤヌコーヴィチ時代の経験を有している。このような「お辞儀」は、軽めに言っても、投資環境改善のためにも、米国とのパートナーシップ発展のためにも、おかしな行為である。

マイア・サンドゥ・モルドバ大統領 写真:IPN

モルドバの繰り上げ議会選挙は、マイア・サンドゥ大統領勢力の大勝利に終わった。大統領は、野党勢力の反対を押し切り、今年4月に選挙実施を主導し、彼女の政党「行動と連帯」(PAS)が、議会で単独過半数の形成を期待できるだけの結果で勝利したのだ。イーゴル・ドドン(前大統領)の社会党とウラジーミル・ヴォローニン(元大統領)の共産党は、共同ブロックを形成していたが、3分の1の票しか得られなかった。モルドバ政権が、ウクライナの国会の単独過半数の経験を利用するとは思えないし、両国間には「チャウス事件」で損なわれた関係の正常化という議題がある。ただし、ロシアのことも忘れるべきではない。ロシアにとっては、モルドバの安定した発展は、「受け入れられないシナリオ」なのだ。

トップ写真:EPA-EFE