独議会、ウクライナへの重火器供給を議論

ドイツ連邦議会では22日、最大野党会派のキリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟(CDU/CSU)によるウクライナへの重火器提供提案が議論された。

ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

CDU/CSUの提出した文書は「欧州の平和と自由を守ることは今ウクライナを重火器で断固と支援すること」と題されていた。

中道右派の同会派は、連邦政府に対して、ロシアの侵略戦争と戦うウクライナを重火器により支援するよう呼びかけた。提出文書には、「ウクライナは、西側重火器を含め、今すぐ、決定的かつ追加的に強化されるべきだ」と書かれている。同会派は、政府が「倉庫から戦車、装甲輸送車、歩兵戦闘車をウクライナへ輸出する許可を速やかに発出すべき」だとし、さらに「ドイツ軍倉庫から重火器、特に装甲先頭車と長距離榴弾砲」を提供すべきだと主張している。

CDU/CSU所属のフロリアン・ハン議員は、「支援は、プーチンが動員を発令した今こそ必要だ。今こそ、ウクライナへの支援の総動員が必要なのだ」と発言した。同議員はまた、ウクライナはさらなる武器を必要としており、ドイツはさらに提供することが可能だと主張した。

同会派所属のヨハン・ダヴィド・ヴァデフル議員は、ドイツ議会はすでに4月28日にウクライナへの重火器提供に賛成したが、戦車は結局提供されていないことを喚起し、ドイツはウクライナへの「3桁の」歩兵戦闘車「マルダー」を、ドイツ軍の防衛能力を低下させることなく、速やかに提供することが可能だと指摘した。

与党の自由民主党(FDP)に所属し、防衛委員会委員長を務めるアグネス・シュトラク=ツィメルマン議員も、マルダー歩兵戦闘車のウクライナへの提供を支持した。同議員は、「私たちは、自由民主党議員として、現在のウクライナ軍が少しずつ自国領を取り戻しているという軍事状況からして、私たちはウクライナに対して、少なくとも装甲兵員輸送車『フクス』と歩兵戦闘車『マルダー』、そして必要であれば、戦車『レオパルド2』も、提供すべきだという考えを抱いている」と発言した。他方、シュトラク=ツィメルマン議員の考えは、与党の統一見解ではない。

与党の緑の党に所属するオミド・ヌリプアー議員は、ロシアが動員を発令したことは欧州の平和にとっての悪いニュースだと述べた。同議員は、ロシアには和平協議の準備はなく、長期的戦争実施に向かっていることを示しており、同時に、ウクライナ軍が戦場で成功していることを背景に、プーチン露大統領やクレムリンにかかっている圧力の大きさをも示しているとも発言した。同議員はまた、「ウクライナ人の勇敢さは過小評価すべきでないし、それは支持すべきである。私たちのウクライナとの連帯は引き続き揺らがずにあるべきだ」と呼びかけた上で、西側のパートナーたちは、クレムリン情勢を考慮した上で、長期的忍耐を有さねばならないと指摘した。

なお、同議論では、ドイツ連邦議会の6会派中4会派がウクライナへのさらなるサポートへの支持を表明した。極右と極左の2党は、これまで同様、ウクライナにおける戦争は、ドイツ人の戦争ではないのであり、ドイツは戦争に身を投じるべきではないと主張した。極右ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の議員は、「核保有国家は敗北に耐えられない」のであり、プーチンが戦争に負ける状況を許してはいけない、とすら主張した。

同日の議論では本件に関する決定は採択されず、本件は外務委員会にて継続審議されることになった。

※修正(20:06):レオパルド→レオパルド2