黒海を通じた農作物輸出の「穀物合意」効力延長問題 「ウクライナは追加条件を出していない」=クレーバ宇外相

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7月に締結された、ウクライナの3つの海洋港から黒海を通じて農作物を輸出するウクライナ、ロシア、トルコ、国連の4者による合意、通称「穀物回廊」合意の効力延長につき、ウクライナのクレーバ外相は、ウクライナは同延長につき一切の追加条件を提示せず、合意内容の拡大を望んでいると伝えた。

またクレーバ外相は、現在、ロシアのせいで、同回廊を利用する貨物船に対して臨検により、航行に遅れが出ていると伝えた。ウクライナ外務省がツイッター・アカウントにクレーバ外相による動画メッセージを掲載した

クレーバ氏は、「ウクライナは穀物合意における自らの義務を遵守している。私たちは、同合意が引き続き効力を持ち、拡大されることを望んでいる。私たちは、私たちの全ての穀物輸出が外国の消費者にできるだけ早く届くようにしたい。私たちは、ウクライナの穀物が、特にアフリカ、中近東、アジアの国々における、食糧安全保障の維持を促すことに関心がある」と発言した。

同氏はまた、「穀物回廊」イニシアティブが7月に発効してから、10月23日までに、ウクライナの海洋港からはすでに850万トン以上の穀物が輸出されており、386隻の貨物船がウクライナの港に入港し、379隻の船が外国の消費者のところへ出港したと指摘した。同氏は、3分の2の穀物は、アフリカとアジアの市場へ出発し、3分の1は欧州へと向かったと指摘した。

その上で同氏は、「ロシアは、ウクライナの穀物輸出の大半は、欧州に向かっていると嘘をついている。私たちは、ロシアがそのような間違った声明を出しては、穀物イニシアティブを破綻させようとするだろうと警告してきた。そして、彼らは今まさにそうしている。ロシアの外交官からは、『同(穀物回廊)イニシアティブを機能させ続けるためだ』とする新たな要求と条件が述べられている。ロシアは、いくつかの政治的な優位を得るために、合意から離脱すると脅迫している。彼らは、世界相手に『空腹ゲーム』を再開する準備があるのであり、彼らにとっては、それがアジア、中近東、アフリカの何千もの家族にとって脅威をもたらすことはお構いなしなのだ。私は、ウクライナは追加的条件を一切提示していないことを皆に喚起したい」と強調した。

これに先立ち、7月22日、イスタンブルにて、ウクライナとトルコと国連、及び、ロシアとトルコと国連がそれぞれ、ウクライナの海洋港の封鎖を解除し、ウクライナ産農作物を輸出できるようにするための合意に署名していた。同合意は、120日間継続し、当事者の合意により延長できることになっていた。

しかし、10月12日、国連ロシア常駐代表は、ロシアは、提示している要求が履行されないならば、11月に同「穀物合意」の延長を拒否すると発言していた。

10月24日、ウクライナ・インフラ省は、ロシアがボスポラス海峡にて穀物回廊を通る船に対して行われている臨検作業を意図的に遅らせているとし、それによって170隻以上の船が進めなくなっており、結果、ウクライナの海洋港は本来の能力の25〜30%しか発揮できなくなっていると伝えていた。

26日、エンバロ・ギニアビサウ大統領は、キーウを訪問した際、自身はその前にロシアを訪問しており、その際にプーチン露大統領が彼にメッセージを託したと述べた。同氏は、そのメッセージは、「食糧安全保障にとって重要なもの」であるとともに「協議の準備に関する」ものだとし、「彼(プーチン氏)は、私に、『私はゼレンシキー大統領と協議を行う準備がある』と発言した」と伝えていた

修正(27日18:11):8.5トン→850万トン