国連総会、新しいクリミア人権決議を採択 日本も賛成

15日、国連総会は、昨年から内容の更新された「クリミア自治共和国とセヴァストーポリ市(ウクライナ)の人権状況」決議を採択した。

賛成82か国、反対は14か国、棄権は80か国だった。日本も賛成票を投じている。ウクルインフォルムのニューヨーク特派員が伝えた。

反対票を投じたのは、ベラルーシ、中国、キューバ、北朝鮮、エリトリア、エチオピア、イラン、カザフスタン、マリ、ニカラグア、ロシア、スーダン、シリア、ジンバブエ。

今回のクリミア人権決議では、昨年までの同名の決議の内容に加えて、ロシアがウクライナに対する侵略やヘルソン州・ザポリッジャ州の違法併合の試みを目的としてクリミアを利用していることが非難されている。

また、国連総会は、ウクライナやウクライナ人に対する憎悪の扇動や、教育課程を通じたロシアの対ウクライナ侵略を正当化する偽情報の拡散を非難した。

さらに、今回は、同決議が参照する文書として、新たに2022年3月16日付の国際司法裁判所(ICJ)による「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)に従ったジェノサイド遂行との断罪事件」(ウクライナ対ロシア事件)における暫定措置命令が加えられている。

国連総会はその他、クリミアにおけるさらなる恣意的拘束やクリミアへ/クリミアからの強制移送、強制失踪、避難民などの人々に対するいわゆる濾過(フィルタリング)手続きを非難している。

加えて決議では、クリミアの一時的占領が、ロシアが軍事的に支配するウクライナのその他の地域における人権分野の深刻な機器の基盤となっていることが指摘された。

さらに、ロシアに対して、ウクライナに対する侵略を速やかに停止し、自国軍を「国際的に認められた国境内のウクライナ領から」無条件に撤退することが要求されている。

総会はまた、ロシア占領政権による差別的慣習、恣意的拘束・逮捕、拷問、性的暴力、被拘束者に対する協力の強要などを指摘した。

決議では、ロシアに対して、クリミア・タタール民族代議機関「メジュリス」を過激組織と宣言して、その活動を禁止する決定や、クリミア・タタール人に対する判決の無効化、メジュリス指導者の拘束からの速やかな解放も要求されている。

加えて総会は、ウクライナ人の子供をロシアに強制追放することを止め、子供たちを親のもとへ安全に帰還させる方策をとることを要求している。

また、ロシアに対して、クリミア住民構成(特に民族構成)を強制的に変更する政策を止め、ロシア国民の被占領下クリミアへの自由な移民を制限する方策を取るべきだと主張されている。

その他、国連総会は、全ての国家・国際機関に対して、クリミアにあるロシア連邦の機関とその代表者は「ロシア連邦占領政権」と呼称しなければならないこと改めて喚起した。

なお、「クリミア自治共和国とセヴァストーポリ市(ウクライナ)の人権状況」決議は、2016年から採択され続けているものであり、毎年内容の更新が行われている。

2021年の同名決議の投票結果は賛成65か国、反対25か国、保留85か国、2020年の投票結果は賛成64か国、反対23か国、保留86か国であった。