ウクライナ人は自らの自由のためだけでなく、世界の価値のために戦っている=欧州上級代表
欧州連合(EU)のボレル外務・安全保障政策上級代表は7日、ウクライナは戦場で自らの自由や独立だけを防衛しているのではなく、普遍的な価値や世界のルールに基づく秩序も防衛しているであり、だからこそ世界中はロシアのウクライナ侵略戦争の性質、起源、真の被害について認識しなければならないと発言した。
ボレルEU上級代表がブリュッセルで開催された会議「国外の情報マニピュレーションへのEUの対応」の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ボレル氏は、「今まさにロシアはウクライナを破壊し、人々を苦しませ、怖がらせ、彼らの士気を弱体化し、人々を弱らせ、恐れさせ、降伏させようとしている。しかし、私たちは、ウクライナの人々が戦い続けているのを、しかも自分のためだけ戦っているわけではないことを見ている。ウクライナ人が自らの自由、独立、ウクライナの領土一体性のためだけでなく、私たちが世界を理解する基本となっている価値のためにも戦っていることは、皆が理解すべきだ。この観点から、私たちは、彼らは私たちのためにも戦っていると言うことができる。それは真実だ。この戦争は、普遍的価値とルールに基づいた秩序を損なわせるものだ」と発言した。
同氏はまた、先週、欧州委員会と欧州理事会議長がキーウを訪問し、自らの目でロシアのウクライナ侵略の被害を再び目にしたことを喚起した。さらに、同氏は、ウクライナ領の約3分の1が爆発物で汚染されていることを指摘し、クロアチアやコロンビアやその他の国の経験からして、地雷除去、大地や水の爆発物やその他戦争の「記憶」からの洗浄には、何十年もかかる可能性があると発言した。
加えて同氏は、「ロシアがウクライナへの侵攻を始めた2022年2月24日という日付は、欧州の安全保障を根本的に変え、世界中に衝撃波を送ることになった。戦争は私たち皆に衝撃をもたらした。ここ、ブリュッセル、ヨハネスブルグ、南アメリカ、東南アジア、アフリカの角、ありとあらゆる場所だ。何よりも、ウクライナ人にだ。被害は、何万もの犠牲者と何百万の難民、世界中での電力価格・食費の上昇と生活水準の低下である。あらゆるところで私は質問を受けている。いつあなたはこの戦争を終わらせるのだ、と」と指摘した。
その際同氏は、世界の皆がロシアの侵略の性質と起源を同じように理解しているわけではないと発言した。同氏は、アフリカの国々のパートナーとのやりとりを紹介し、アフリカでは特にこの戦争の被害により苦しんでいるが、そのやりとりからは、皆がこれら出来事に関する欧州の見方に同意しているとは言い難いと指摘し、そのことはウクライナ情勢に関する決議が投票にかけられる2月末の国連総会次期会合の際に反映されるかもしれないと発言した。
同氏は、「人々は、これを欧州の戦争だと思っているのだ。確かに戦争は欧州で起こっている。しかし、これは欧州の戦争ではない。これは、欧州人の間の戦争ではないし、ロシアが紹介したがっているような、西側対ロシアの戦争でもない。これは、価値を巡る戦いであり、だからこそその被害は世界中に及んでいるのだ」と強調した。
そして同氏は、ロシアこそが世界中で困難を作り出しているのであり、食料・エネルギー危機の罪を欧州に転嫁しようとしているのだと発言した。そして、同氏は、ロシアはそのために、武器として、情報マニピュレーション(印象操作)と外部からの情報介入を行っていると指摘し、その戦争は人は殺さないが、ロシアは人々の認識を奪い、理解を形成し、人々の心、抵抗の能力を倒してしまうものだと指摘した。同氏は、「そのナラティブ戦争が続いている」と発言した。
さらに同氏は、ラヴロフ露外相が外遊を続けているとし、今回はマリとエリトリアなどを訪問し、そこで今起きていることや、誰に罪があるのかについて嘘を撒き散らそうとしていると指摘した。同氏は嘘や偽情報の拡散は新しい戦術ではなく、そこには第二次世界大戦時代と比べても新しいものはないが、違いは、その集中の程度と手段にあるとし、現在はインターネットが存在することを指摘した。同氏は、現在インターネットにより嘘は1000回繰り返され、自己再生し、光の速度で誰のもとにもどんなところにも到達できてしまっていると説明した。