ウクライナ軍情報機関、ロシアのモルドバ情勢に関する意向を説明
ウクライナ国防省傘下情報総局は、現在ロシアは2つの目的を持ってモルドバ情勢を緊迫させているとし、その1つは国際社会の注意を対ウクライナ戦争から逸らすこと、もう1つはロシア国内に対して何らかの「勝利」の絵を見せることだとする見方を示した。
情報総局に所属するチェルニャク氏がRBCウクライナ通信にコメントした。
チェルニャク氏は、情報総局はモルドバと同国トランスニストリア地域のいわゆる非承認「国家」で今起きていることを確認しているとし、「トランスニストリアのロシア人が有しているのは、非常に限定された部隊だ。彼らが守っている倉庫があるが、その倉庫にはほぼ何もなく、残っているのは古くて使い物にならないものだ。ただ、モルドバで彼らは今、政治的手段、『偽旗』で状況を揺らがそうとしている」と発言した。
同氏はまた、ロシアはそのようなシナリオで、過去(編集注:2014年)にウクライナ東部のドネツィクとルハンシクで似たようなことを行っていたことを喚起した。そして同氏は、「私は、ロシアはモルドバに緊張を作り出すことに、2つの目的を据えていると思っている。1つは、ウクライナで起きている出来事から欧州の社会の注意を逸らす試みだ。彼らは、(今)ウクライナに対して、支援を含むあらゆる注意が集まっているのを見ている。そのため、彼らは、欧州で新しい『火事』を起こそうとしているのだ」との見方を示した。
さらに同氏は、2つ目の目的は「ロシア国内の消費を対象にしたもの」だろうと指摘し、「なぜなら、彼らはいわゆる『特別軍事作戦』なるもので何の成果も達成できていないのだ。そのため、彼らは、自国民のために何でも良いから『勝利』を見せる必要がある。現在、彼らは、『世界は我らの味方』『モルドバの人々は私たちの味方』かのような幻想を生み出すために、何らかの革命を行おうとしているのだ」と指摘した。
なお現在、モルドバでは、親露政党が主導する反政府抗議運動が続いている。
これに先立ち、1日、ロシアのザハロヴァ外務報道官が、ウクライナがモルドバのトランスニストリア地域の近くで「放射性物質を利用した」挑発行為を準備していると発言していた。
ウクライナ政府もモルドバ政府もロシアの声明を偽情報や嘘だとして、否定している。
また、モルドバのレチャン首相は、ロシアには現在モルドバでエスカレーションを起こすのに十分なリソースはなく、侵攻もできないと発言している。