ロシアとの協議の時は来ていない=ドイツ大統領

ドイツ連邦共和国のシュタインマイヤー大統領は、ウクライナは攻勢な平和を必要としているのであり、和平協議はそのための条件がそろった時でなければ始められず、現在その条件はそろっていないと発言した。

シュタインマイヤー独大統領がヴェルト局番組出演時に発言した

シュタインマイヤー氏は、「この瞬間、協議、あるいは、現時点での停戦のための状況が生じていないことが明白であることは認めなければならない」と発言した。

同氏はまた、その問題はまたウクライナ抜きで決まるものではないとも補足した。

さらに同氏は、将来の平和が公正なものであることの保証なく停戦することは、状況からの出口とはならないとの見方を示し、そのような停戦を要求する者は「ウクライナが自衛を止めてしまうことは、ウクライナの終わりを意味する」ということを忘れるべきではないと指摘した。

その他同氏は、ウクライナのための将来の安全保証について、北大西洋条約機構(NATO)同盟国が、保証がどのようなものであるべきかにつき、秘密協議を行っていると発言した。同氏は、現段階での合意の詳細を明らかにすることは正しくないとの見方を示した上で、友好国が本件につきコンセンサスに達することへの期待を表明した。

また同氏は、いつ今次の戦争が終わるかを「知っている」と主張する者は皆、嘘をついていると指摘しつつ、情勢展開についての自らの予想も話さなかった。そして同氏は、ロシアがウクライナに対して始めた戦争は耐え難い苦しみと数十万人の犠牲を生んでおり、「あまりに長い間」続いていると述べつつ、ロシアはその戦争を瞬時に終わらせられるのであり、たとえ今日であっても、ロシア軍がウクライナ領から撤退さえすれば終わらせられるのだと主張した。

加えて同氏は、過去の政策がナイーブだったのはドイツだけではなく、ロシアを欧州安全保証機構に組み込もうとした西側全体の対露政策がナイーブだったのだとと指摘した。

なお、ドイツ社会民主党のシュタインマイヤー氏は、メルケル政権時に外相を務めたこともあり、ロシアとの協力関係強化を長年支持してきた人物。同氏は、ロシアによる全面的侵攻開始以降、ロシアに対する自らのそれまでの見方が間違っていたことを認めている。

写真:bundespraesident.de