ゼレンシキー宇大統領、トルコ大統領と国連事務総長に黒海穀物合意の延長を提案

ウクライナのゼレンシキー大統領は17日、トルコのエルドアン大統領と国連のグテーレス事務総長に対して、黒海穀物イニシアティブを継続する、あるいはロシア抜きで同イニシアティブに類似した何かしら別のイニシアティブを実現することを正式に提案した。

ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージで発言した

ゼレンシキー氏は、「私はエルドアン・トルコ大統領とグテーレス国連事務総長に対して、黒海穀物イニシアティブの活動延長、あるいは、最も理想的なものとして、3者フォーマットでの同合意の類似のもので続けることを提案する公式書簡を送った。ウクライナ、国連、トルコは食料回廊の活動を確保し、船舶の検査を共同で行うことができる。それは世界の皆にとって必要だ。そして、それを支持する者は皆、モロッコから中国、インドネシアからレバノンまでの広大な空間の命の救済者になるのだ」と発言した。

同氏はまた、ロシアは全面侵略初日から黒海とアゾフ海の自由な航行を破壊し、ウクライナの港や穀物ターミナル、貯蔵施設までミサイルと無人機で攻撃したと喚起した。

そして同氏は、ウクライナの食料品は世界の4億人の基本的安全保障となっているため、食料輸出に決定的に依存している国々では、ロシアの行動の結果として、食料市場が不安定になり、社会に混乱が生じる可能性があると指摘した。

その他同氏は、黒海穀物イニシアティブのおかげで、世界45の国々に約3300万トンの農産物が輸出されたとし、その内の60%がアフリカとアジアの国々への輸出だったと伝えた。

また同氏は、「ウクライナの立場はこれまでもこれからも最大限明確だ。それは、誰であってもどのような民の食料安全保障を壊す権利などない、というものだ。クレムリンのどこかにいる一握りの人間が、様々な国、エジプト、スーダン、イエメン、バングラデシュ、中国、インド、トルコあるいはインドネシアの食卓に食べ物があるかどうかを決める権利が彼らにはあると思っているなら、世界は、脅迫は誰に対しても許されないということを示すことができる」と強調した。

同氏は、黒海穀物イニシアティブは「ロシア抜きならロシア抜きで」今後も機能させられるし、させねばならないと主張した。

その上で同氏は、ウクライナがトルコと国連の間で締結している穀物輸出合意は引き続き有効であり、現在同合意の「適切な履行」と世界によるテロ国家に対する断固とした圧力が必要だと指摘した。

これに先立ち、17日、ロシアは黒海穀物回廊合意の効力を停止する意向を表明していた。

これに先立ち、2022年7月22日、イスタンブルにて、ウクライナとトルコと国連、及び、ロシアとトルコと国連がそれぞれ、ウクライナの海洋港の封鎖を解除し、ウクライナ産農作物を輸出できるようにするための合意を締結していた。同合意は、120日間継続し、当事者の合意により延長できることになっていた。これまでに、複数回合意の延長が行われている。

プーチン露大統領はこれまでにも対露制裁の解除やロシアの輸出の障害除去を求め、それが実現できない場合は、同合意から離脱すると主張していた。

ロシアによる主要な要求の1つが、2022年6月に欧州連合(EU)により制裁対象となった、ロシア農業銀行のSWIFT(国際銀行間通信協会)への復帰であった。

EUは、ロシア農業銀行の子会社のSWIFTへの接続し、穀物と肥料の取引をできるようにする可能性を検討していた。

エルドアン・トルコ大統領は先週、グテーレス国連事務総長がプーチン露大統領に書簡を送り、ロシア政権に対して、EUがロシア農業銀行の子会社をSWIFTに接続するための時間を得られるよう、黒海穀物合意を延長することを提案したと発表していた。