欧州人権裁判所、ロシアの対ウクライナ請求を棄却

欧州人権裁判所は18日、「ロシア対ウクライナ」事件において、ロシアのウクライナに対する請求を全て完全に棄却する判決を公表した。

欧州人権裁判所のプレスリリースに書かれている

発表には、「欧州人権裁判所は本日、その決定において全会一致で以下の決定を下した。この申請を事件リストから削除する」と書かれている。

裁判所は、ロシア政府が裁判所の書簡に対して繰り返し返答しなかったことから、ロシア政府にもはや請求を追及する願望がないと結論付けたと伝えた。

ウクライナ司法省は、ウェブサイト上で、今回の決定に関するコメントを掲載した

司法省は、「そのロシアの請求は、ウクライナに対する唯一の国家間提訴だ。それは10の提訴グループからなる。ロシアはウクライナに対して、あたかも『殺人、拉致、強制移住、選挙権への干渉、ロシア語使用制限、ロシア大使館・領事館襲撃』の行政上の慣習があると訴えていた。その提訴にて、ロシアはまた、ウクライナが『上空を封鎖しなかったから』だとして、ウクライナに対して航空機MH17事件の責任も転嫁しようとしていた」と説明した。

ロシアはその他、北ウクライナ水路の封鎖も訴え、裁判所が暫定措置の実施を命じるよう、具体的には、ウクライナに対してクリミアへの水の供給を再開し、ロシア語使用の「弾圧」を止めるよう命じることを求めていたという。欧州人権裁判所は、今回ロシアのその請求を棄却したのだという。

発表にて、ウクライナのソコレンコ欧州人権裁判所担当全権は、「欧州人権裁判所規則第39条に従って暫定措置に関する請求、要求を提出する際には、申請者は欧州人権条約が定める人権侵害の確かなリスクの存在を欧州人権裁判所に対して立証し、それを証拠で裏付けせねばならない。2021年7月23日、欧州人権裁判所は、即座に暫定措置の申請を棄却し、ロシアが『欧州条約に従った基本的人権に対する回復不可能な損害の深刻なリスク』の証拠を提出しなかったことを明確に示していた。したがって、欧州人権裁判所が、第39条に従った暫定措置に関するロシアの要求もすぐに棄却したのは不思議ではない。さらに、提訴の際には、証拠も、申請書自体も、全ての書類がロシア語で出されていたのだが、その点については、欧州人権裁判所は、繰り返し全ての書類は同裁判所の業務言語である英語またはフランス語で提出するよう指示していたが、ロシアは然るべく準備した文書の提出を恒常的に遅らせていたのだ」と説明した。

ムドラ宇司法次官は、「手続き当事国が良心的に振る舞うことは重要である。しかし、2022年3月、欧州評議会がウクライナへの全面侵攻を受けてロシア連邦を同評議会から除名して以来、彼らは同組織のいかなる機関ともコミュニケーションを全く取らなくなっていた。しかし、それは欧州人権裁判所がすでに手続きのなされているロシアに関する事件の審理を継続する決定を下す上で障害とはならないし、権利も全く制限しない。欧州人権裁判所は、引き続き司法を執り行うという明確なシグナルを出したのだ」と伝えた。